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(22) 2022/2023シーズン公演(最終更新日:2023.7.31)-------- (大部分の画像は、クリックすると大きくなります)

2022.10.10:「ジュリオ・チェーザレ」
2022.11.15:「ボリス・ゴドゥノフ」
2023.2.19:「コジ・ファン・トゥッテ」
2023.3.21:「ホフマン物語」
2023.5.311:「リゴレット」
2023.7.30:「オペラ研修所試演会」


《過去のシーズン公演》:  1999/2000 * 2000/2001 * 2001/2002 * 2002/2003 * 2003/2004 * 2004/2005 * 2005/2006 * 2006/2007 * 2007/2008 * 2008/2009 * 2009/2010 * 2010/2011 * 2011/2012 * 2012/2013 * 2013/2014* 2014/2015* 2015/2016 * 2016/2017* 2017/2018* 2018/2019 * 2019/2020* 2020/2021* 2021/2022


2022.10.11:「ジュリオ・チェーザレ」

ヘンデルの「ジュリオ・チェーザレ」は、今年の3月に中山美紀ほかが好演した川口のリリカホールでの公演があったが、 が新国立劇場でもコロナ禍のため2年半も延期になっていたが、今回やっと上演された。
歌手陣は、今回も邦人歌手中心であったが、作品の楽しさは十分に味わえた。 しかし、カストラートが活躍した時代のオペラでの声種の割り振りについては、当時もパロディー的な面白さ追求したのかもしれないが いつも違和感を持ってしまう。
ジュリオ・チェーザレ役(初演:カストラート、川口公演では、バリトン)は、 ノルウェー出身で新国初登場のマリアン・ベアーテ・キーランド(Ms)が歌ったが、極めて高い歌唱力を持ち、淀みなく透明感 あふれた美声を駆使し、なかなかの好演であった。クレオパトラを歌った 森谷真理(S)は、コロラトゥーラの技巧と 豊麗な声を兼ね備えた得難い歌手であるが、今回も持ち味全開で大変素晴らしかった。コルネーリア役の 加納悦子(Ms)は、 艶のある美声を駆使してやはり好演。セスト役の金子美香(Ms)も熱演であったが、やや力み過ぎの感もあった。 カウンターテナー(藤木大地村松稔之)の2人は、演出の違いや川口公演の2人(中嶋俊晴、彌勒忠史)の印象が強すぎたせいもあるが、 やや物足りなかった。クーリオ役の駒田敏章(Br)は重厚な声を、アキッラ役のヴィタリ・ユシュマノフも 持ち前の美声を活かし好演。 一方、演劇・オペラ双方の世界で活躍中というフランス人 ロラン・ペリーによる演出は、個人的にはあまり楽しいものではなかった。 主役級人物を巨大な装置に乗せて登場させたり、人に担がせたりという工夫もあったが、舞台を「博物館の倉庫」 に設定しているため常に暗く雑然とした背景が目に入り、視覚的にはあまり楽しくなかった。映像などを取り入れ、もう少しすっきりした 舞台にしてほしかった。
管弦楽は、リナルド・アレッサンドローニ指揮下の東京フィルハーモニー管弦楽団。(2022.10.11 記)


2022.11.15:「ボリス・ゴドゥノフ」

ムソルグスキー作曲のこのオペラを初めて観たのは、 1965年のスラブオペラの来日公演 であるが、題名役の歌手(チャンガロヴィッチ)はやや期待外れであったが、いかにもロシア的な 重厚な音楽は強く印象に残った。 今公演のマリウシュ・トレリンスキによる演出は、極めて現代的で往時のロシアにおいがほとんど感じられなかった のは少々残念であった。舞台は、LEDで縁取りした巨大な立方形の鉄枠を自在に動かしたり、野球場の外野の大スクリーンのように 歌手の表情をアップで背景のスクリーンに東映したりの新機軸は、それなりの統一感もあり、なかなか効果的でお面白かったが、 滅多に観ないオペラなのでやはり、今年の1月にMETライブで見たようなオーソドックスな演出で観たかった。 なお、今公演では、王子フョードルと聖愚者が一体化され、黙役としてフランスの女優ユスティナ・ヴァシレフスカ が演じたが、さすが女優、演技過剰と感じるほどの熱演で、存在感を示した。
一方、歌手陣は、ウクライナ情勢に関連してロシア人歌手が全て、邦人を含む他国人歌手に 入れ替わったが、幸い実力者が集まり、高レベルの演奏であり、満足した。 外人歌手の中では、ひときわ豊かな美声を持つジョージア出身の ゴデルジ・ジャネリーゼ(Bs) が圧巻であった。主題役を歌ったドイツ出身の ギド・イェンティンス(Bs)も同様に素晴らしかった。 シェイスキー公を歌ったオランダ出身の アーノルド・ベズイエン(T)もベテランらしい存在感があり、好演。 邦人歌手では、ワルラーム役の河野鉄平(Bs)等がそれぞれ好演。新進の工藤和真(T) も輝かしい声を活かして好演。清水華澄(Ms)も容姿を含めて適任で、期待通り好演。 管弦楽は、大野和士指揮下の東京都交響楽団。(2022.11.16 記)


(2022.12.6~13:「ドン・ジョヴァンニ」)

(2023.1.28~2.11:「タンホイザー」)

(2023.2.10~18:「ファルスタッフ」)

2023.2.19 :「コジ・ファン・トゥッテ」

新国オペラ研修所終了公演としてモーツアルトの「コジ・ファン・トゥッテ」が上演された。 この日の公演は、23~25期生によるトリプルキャスト公演の最終日であった。 歌手陣は、さすが選ばれた研修生だけに皆高水準の歌唱でバランスも良く、このアンサンブル・オペラ の素晴らしさが実感できた。フィオルディージ役の大竹悠生(S、25期)、ドラベッラ役の大城みなみ (Ms、24期)、グリエルモ役の佐藤克彦(Br、24期)、フェランド役の高畠伸吾(Br、賛助)はいずれも美声 の持ち主で好演であった。デスピーナ役の野口真瑚(S、25期)は、初めて聴いたが声も容姿も素晴らしい ので今後の舞台での活躍に期待したい。しかし、一番印象に残ったのは、昨年(「領事」)同様、豊かな美声 と優れた演技力でドラマを盛り上げた大久保惇史(Br、23期)であった。
一方、粟國 淳の演出は、このオペラ演出の定番ともいえるシンメトリーを基調としているが、廻り舞台を フルに活用した舞台転換は大変鮮やかであった。各場面も研修所公演とは思えない立派なもので、なかなか 見ごたえがあった。強いていえば、背面の大スクリーンの映像に一工夫ほしかった(例えば第一幕の2人の 出征の場面で海を映す)。
管弦楽は、星出 豊指揮下の新国立アカデミーアンサンブル。チェンバロ:星 和代。(2023.2.20 記)


2023.3.21 :「ホフマン物語」

5年ぶりにオッフェンバック作曲の「ホフマン物語」が上演されたが、演出は 評判が良かったフィリップ・アルローによるの新国初演時(2003年)ものが踏襲された。 “色彩の魔術師”の異名を持つアルロー (演出、美術、照明)の舞台は、 色鮮やかな衣装、台車付きの巨大なスカートをはいたユニークな機械人形の登場など ファンタジーにあふれ、今回も目を楽しませてもらった。
歌手陣は、今公演も邦人主体で、海外勢は男声の2人だけであった。 ホフマンを歌った米国出身のレオナルド・カパルボ(T)は、 華やかな明るい声ではないが、強靭な美声の持ち主で、苦悩する主人公を見事に歌い、演じた。 リンドルフ/コッペリウス/ミラクル博士/ダペルトゥットの4役を歌ったラトヴィア出身の エギルス・シリンス(BsBr)も声量豊かな 美声を駆使して好演であった。女声陣では、ニクラウス/ミューズ役の 小林由佳(Ms)は、 容姿を含めて適役、好演であった。オランピア役の安井陽子(S)は、前回(2018年)同様 十八番のアリアを見事に歌った。アントニア役の木下美穂子(S)は、 高音部の響きが多少気になったが、声量豊かで熱演ではあった。一方、ジュリエッタを歌った 大隅智佳子(S)は目立ったコンクール歴は ないが、抜群の実力でいつも聴衆を魅了してきた。今公演も持ち前の伸び伸びした豊麗な声を活かして好演であった。 脇役陣も、主役カヴァーの村上敏明、須藤慎吾、谷口睦美などを配し充実していた。
管弦楽は、マルコ・レトーニャ指揮下の東京交響楽団。
なお、今回の出演者の歌を交えた大野和士の「オペラ玉手箱」での このオペラの解説が面白いので紹介しておきたい。(2023.3.22 記)


(2023.3.15~21:「アイーダ」)
2023.5.31:「リゴレット」

新国立劇場としては10年ぶりに、しかも新制作でヴェルディの「リゴレット」が上演された。 歌手陣が素晴らしく、久しぶりに名曲の実演を楽しむことができた。リゴレットを歌った 高名なロベルト・フロンターリ(Br)は、 すでに65歳に達しているはずであるが立派な声は健在で見事な歌唱・演技であった。 一方、マントヴァ公爵を歌ったイヴァン・アヨン・リヴァス(T)は、コンクールで優勝して間もない30歳の 新進歌手であるが、強靭な美声を駆使して、やはり好演であった。ジルダ役の ハスミック・トロシャン(S)は、 2019年の「ドン・パスクワーレ」でも好演したが、今公演でも美声と美貌を活かして好演であった。 重厚な美声を持つスパラフチーレ役の 妻屋秀和(Bs)、モンテローネ伯爵役の 須藤慎吾(Br)も適材適所で存在感 充分であった。また、清水華澄(Ms)も妖艶なマッダレーナ役を見事に歌い、演じた。
一方、演出は、エミリオ・サージによる新制作とのことだったので期待して出かけた。数年前、METライブ で観たげ現代のラスヴェガスに舞台設定した演出が大変面白かったが、今公演では時代設定は原作通りとする一方、 舞台装置は現代的なものであり、奥行き、高さとも十分な壮大なものであったが、イタリアの雰囲気 は全くなかった。特に巨大なマットレスを敷いたように見える第一幕の第2場ではもう少し工夫がほしかった。 また、現代的な構築物と古典的な衣装をまとった登場人物との取り合わせには多少の違和感を覚えた。
管弦楽は、マウリツィオ・ベニーニ指揮下の東京フィルハーモニー交響楽団。(2023.6.1 記)


(2023.5.27~6.4:「サロメ」)
(2023.6.28~7.8:「ラ・ボエーム」)

2023.7.30:「オペラ研修所試演会」

新国立劇場オペラ研修所生による試演会が2日間にわたって開催された。今回は、第24~26期生14名と 賛助出演の1名を加えた15人が出演したが、これまでのように一つのオペラを演ずるのではなく、 「セビリアの理髪師」や「フィガロの結婚」などのポピュラーな作品のほかJ.アダムスの「ニクソン・イン・チャイナ」 まで含めた12作品の重唱部分を取り出し、休憩をはさんで6作品づつ連続して演奏された。この方式では、 舞台転換はあってもストーリーにつながりがないので、個々のオペラの面白さは十分には伝わらなかったが、全研修生の 主役としての歌を聴くことができたのはよかった。
14名の研修生は、いずれも選抜れた実力者であり、素晴らしい歌唱を披露したが、強いて1人をあげれば、 小柄ながら強靭な美声を持つ佐藤克彦(Br、24期生)をあげたい。いずれの研修生も、今後コンクールや オーデションを経てオペラの本舞台での活躍が期待される。なお、賛助出演した内山歌寿美(S、23期終了)は、 豊麗な美声を活かし、貫禄十分の好演であった。やはり今後の活躍に期待したい。
一方、デイヴィット・エドワーズによる演出は、廻り舞台をフル活用して舞台展開を図ると共に、適宜コミカルで にぎやかな場面も挿入して聴衆を楽しませてくれた。
指揮は、キハラ良尚。ピアノ演奏は、木下志寿子、高田絢子。(2023.7.31 記)


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