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(22) 2020/20210シーズン公演(最終更新日:2020.11.22)-------- (大部分の画像は、クリックすると大きくなります)

2020.9.3:「フィデリオ」
2020.10.10:「夏の夜の夢」
2020.11.21:「アルマゲドンの夢」


《過去のシーズン公演》:  1999/2000 * 2000/2001 * 2001/2002 * 2002/2003 * 2003/2004 * 2004/2005 * 2005/2006 * 2006/2007 * 2007/2008 * 2008/2009 * 2009/2010 * 2010/2011 * 2011/2012 * 2012/2013 * 2013/2014* 2014/2015* 2015/2016 * 2016/2017* 2017/2018* 2018/2019 * 2019/2020


2020.9.3:「フィデリオ」

7ヶ月ぶりにオペラパレスに出かけ、東京二期会オペラ劇場公演(日本オペラ振興会、新国立劇場共催)の「フィデリオ」を観た。 消毒、連絡先の記入、客席の半減等の物々しいコロナ感染対策がとられていたが、オペラ公演が再開されたのは何よりである。
今年は、ベートベン生誕250周年を記念する年であり、二期会の力の入れ方も大きかったと思われるが、歌手陣は国際的な水準を抜く 素晴らしさであった。男声陣では、フロレスタン役の福井 敬(T)、ドン・ピツァロ役の大沼 徹(Br)、ロッコ役の妻屋 秀和(Bs)、 ドン・フェルナンド役の黒田 博(Br)、ヤッキーノ役の松原 友(T)、いずれも持ち前の強靭な美声を響かせ、好演であった。 女声陣では、レオノーレを歌った土屋優子(S)は、2年前の日伊声楽コンコルソ(優勝)時にも目立ったが、特大の声量を誇る福井 敬 と互角に渡り合える豊かな声量を持っているが、響きに若干硬さを感じる場面もあった。マルツェリーネ役の冨平安希子(S)は、 抜群の歌唱力と可憐な容姿で舞台に華を添えた。
一方、時代を18世紀から20世紀後半に移し、壁に閉ざされた世界と自由への願望を、2幕を通して前面の沙幕に短いコメント (主張・解説)や映像を流し強調した意欲的な深作健太の演出は、原作のストーリーともうまく合致し、なかなか説得力があった。
管弦楽は、大植英次指揮下の東京フィルハーモニー交響楽団。(2020.9.4 記)


2020.10.10:「夏の夜の夢」

文化庁芸術祭主催公演、新国立劇場の今シーズン公演の第一作としてブリテンの「夏の夜の夢」が上演された。 このオペラは、むしろ「真夏の夜の夢」として親しんできたが、原題にある midsummerは、 夏至なので真夏ではないことを公演プログラムの解説で初めて知った。なお、今公演は、コロナ禍のため予定されていた6人の外国人歌手が全てキャンセルとなり、 オール邦人歌手で上演されたが、新旧の実力派歌手を集め、なかなか高水準の公演であった。 カタカナ名の歌手が入っていないと集客力に差が出るらしいが、歌唱力では邦人歌手だけで十分と再認識した。主役級のティターニア役の平井香織(S)、ヘレナ役の 大隅智佳子、ライサンダー役の村上公太(T)、 ディミートリアス役の近藤 圭(Br)はいずれも見事な歌唱を披露し、好演であった。特に大隅ののびのびとした豊麗な声が光っていた。 なお、往年のJ・コヴァルスキーのような例外を除いて、個人的にはカウンターテナーの声は一般的に好きではないためもあり、 オーベロン役の藤木大地(Ct)は歌は上手いとは思ったが、多少物足りなくも感じた。
一方、R.スミスによる演出は、舞台左上の巨大な月に照らされたアテネの森は、幻想的な雰囲気充分ではあったが、森の巨木であるべきところに格子状の 人工物(屋根)を配したのは、やや興ざめであった。先日、クラシカ・ジャパンで観たシューベルトのオペラのように背面の大スクリーンを活用して 森林を現出する手もあったのかもしれない。衣装も美しく、小道具類もなかなか手の込んだものであった。 管弦楽は、飯森範親指揮下の東京フィルハーモニー交響楽団。(2020.10.12 記)


2020.11.21:「アルマゲドンの夢」

日本人作曲家への創作委嘱シリーズの第2弾として、20世紀初頭に書かれたH.G.ウェルズのSF短編『アルマゲドンの夢』 を題材とした藤倉大作曲の同名 の新作オペラが世界初演された。高校生時代にウェルズの「A Short History of the World」を読んだ記憶もあり、ウェルズには親しみを覚えるが、 120年前に20世紀の2度の世界大戦を予言するような小説を書いていたのは、さすがである。 ハリー・ロスによる台本(英語)は、あらすじで比較したように原作にかなり忠実ではあるが、“予習”をしていなかったこともあり、 休憩なしの100分間のテンポの早い展開をフォローするのは楽ではなかった。
藤倉大の音楽は、序曲がアカペラのコーラスで始まる斬新なものであったが、台本に寄り添い、ある時は陰鬱に、ある時は勇壮に、 精緻を極めた管弦楽の響きが特に素晴らしかった。歌手陣では、コロナ禍の制約を超えて出演した英語圏出身の主役3人(クーパー・ヒードン役の ピーター・タンジッツ、 フォ−トナム・ロスコー/ジョンソン・イーヴシャム役のセス・カリコ、 ベラ・ロッジア役のジェシカ・アゾーティ) は、いずれも素晴らしい声を持ち、まさに適役であった。脇役ながら2人の邦人歌手(インスペクター役の 加納悦子、 歌手/冷笑者役の望月哲也)も好演。
一方、映像とオペラパレスの高度の舞台機構を巧みに活用したシュタイアーの演出は、大変素晴らしかった。特に、冒頭、背景の夜の街が高速で 飛び去る電車内の場面は、臨場感満点であった。切れ目なしのスムーズな舞台転換も見事であった。カラフルな衣装にも目を楽しませてもらった。
管弦楽は、このオペラの生みの親といえる大野和士自身の指揮下の東京フィルハーモニー交響楽団。(2020.1.22 記)


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