第20回 お結びネット:「交流会」

1. 日 時:2014年9月11日(木)、18:30〜20:40
2. 会 場: アトラスタワー茗荷谷 3階 地域集会室
3. 参加者:20名
4. テーマ : 「今 文京区でおきているいろいろな問題について」
5.議 事 :                             

   司会   「お結びの会」 並木さん

(1) 湯立坂脇マンション・文化財(銅御殿)
 杜史を育む会・湯立坂 広田さん

小石川五丁目の銅御殿の隣に14階のマンションができることにより、文化財に影響があるのではないか、坂の景観が悪くなるのではないかということで活動を始めた。 2005年の12月に始めたので、今年の12月でまるまる9年になる。この間、いろいろなイベントや交渉とかをやってきたが、2009年に工事が始まるということで、裁判をすることとなった。
今、文化庁を相手に裁判が続いているが、私たちが訴えたいのは、高い建物が建つことによるビル風によって文化財が損傷するのではないかという心配である。それで文 化財保護法に則って文化庁相手に保全措置命令というか、「マンションが建つ前と風環境が変わらない状況になるようにしろ」という裁判を始めた。 私たちの論点はここにあったが、文化庁側は近隣住民には訴える権限がないので、門前払いというか、論点に入らずにまずこの裁判は無かったことにしようという風な反論をしてきた。 そして地裁と高裁はこの言い分を認め、私たちの訴えは、棄却されたので、2013年11月に最高裁に上告した。まだ1年たたないが、現在、結果を待っているところである。
今の論点は、「重要文化財の近隣に住む人たちには、文化財を守る裁判を起こす権利があるかないか」というところに移っている。2004年の行政法改正で市民の訴える権利が 拡がったらしいが、具体的なラインが決まっていないということで、私たちもいま門前払いをずっと食らっているが、もう文化財の問題を越えて、市民の権利にかかわる重要 な裁判になっていると考えている。

(2) 関口の目白坂計画      

目白坂の住環境を考える会  野口さん

目白坂のマンションというのは、もうかれこれ始まってから7年位経ち、当初計画ではとっくにできているはずであるが、結論から言うと全くそのままの状態で放置されている。
敷地的には約2,000坪余(7759.39u)のかなり広大な目白坂の丘陵地に地上10階、地下3階(建築面積:4163.44u、戸数:132戸、延面積:20,783.19u) の当時流行った‘地下マンション’が計画されて、H20年に開発許可が下りた。我々はこれに対応して、H21年に開発審査会及び建築審査会に提訴したが、いずれも敗訴した。また、 東京都を相手に地裁に開発許可取消訴訟、文京区を相手に地裁に建築許可処分取消訴訟を起こしたがH24年にいずれも敗訴した。
検討した結果、我々は第一審だけで、上告はしなかった。従って、住民としては手の打ちようがないが、何故か現在開発は止まっている。
住民運動としては、スリープ状態であるが、 現状は、手付かずで自然放置されているため、ジャングルのようになっている。これは良い事ではあるが、困ったことも起きている。今年2月の大雪時に雑木林の枝が多数折れて、 その一部(大きいものは5〜6m)が3月の大風で隣地に飛ばされ、数箇所で破損等の被害が出たので、積水ハウスに対して賠償請求をしている。人が通っていたら大ごとになった おそれがある。このため、業者に枝落としを請求し、業者は大型クレーンを入れ、一ヶ月かけて大掛かりな剪定を実施した。なお、トンボやチョウの他、ナナフシなどの昆虫も多数棲息 している。

(3)堀坂・六角坂の開発 

小石川二丁目マンションの無秩序な開発・建築を考える会 中山さん

「考える会」代表の戸波先生が出張中なので、代わって説明したい。開発計画の場所は、文京区役所近くで、敷地面積は、4,700uである。問題は、2004年の5月位から始まって もう10年になる。当初清水建設が設計したが、建築物を建ててしまった後に堀坂の道路を拡げようとしたが、建築審査会がこれを認めず、取り消された。 また、本来開発許可をとるべきなのに、これを取らなかったために、緑地面積も足りなかった。区にも働きかけたところ、区は当方の要望を独自に、建物高さを20m以下にする、 車寄せを敷地内に設置する等の7項目にまとめて事業者に伝えてくれた。 建物高さに関しては、30m近くのものを建てようとしているが、今年の3月17日以降は、現実にこの地域では22m以下しか建てられなくなった。 現状の建築計画に対する要望は、高さを20m以下にすること、駐車場の出入り口を坂が平坦になる位置にしてほしいこと、及び車寄せを敷地内に設けてほしいことである。 建築確認をとったのは2012年7月26日であるが、現在、都建築審査会への審査請求事件が係属中である。20数箇所について違法性を追求しているが、その内のかなりのところを直して きたのが、今年の3月12日の変更確認である。いずれも高さ制限の発効以前なので、適法であれば高い建物が建つことになる一方、仮に違法な点が見つかれば頓挫することになる、 という情況にある。
建築審査会の審査請求事件の争点の内大きなものの一つは、8階の住民にセットで売ろうとしているHANARE(6室、各15u)と呼ばれる部分が2方向避難できないという問題である。 処分庁側は、母屋が2方向避難できるので、HANAREはできなくても良いと主張しているが、母屋は8階、HANAREは2階なので、2階から一旦8階に逃げてから避難する訳ではないので、 矛盾しているのではないかと思う。 もう一点は、地下駐車場から直接屋外に出る避難階段が無いが、これは都の建築安全条例の規定に違反している。逃げようと思えば、車路から逃げるしかない。従って、車路で車輌 火災があった場合には車庫の中の人は逃げ道を失ってしまう。 もう一つ、売主側はゴミ出し場のスペースを車寄せとし荷捌き駐車スペースにすると言っているが、その位置は住民の避難経路にあたっているので、これも都の建築安全条例 (19条2項)違反となる。これらの点を追求中であり、現在はかなりのリスクのある状態で物事が進んでいるように思える。 2年前に審査請求を出したのに、何故こんなにが進まないのかというと、処分庁側が図面を出してこないということがあるが、図面が出てこなくても審査側が図面提出命令を出して くれるかどうかがわからない状況である。 我々は、こういうものは再設計が必要と考え頑張っている。

(4) 小石川植物園道路拡幅工事の問題  

小石川植物園を守る会  稲葉さん

これまでの経緯をざっと説明すると、まず、H21年12月22日に東大の浜田総長と文京区の成澤区長が、植物園の御殿坂と正門側の敷地1,200uを道路に提供する、そして塀をセット バックして、文京区の方から国の交付金(3億4200万円の助成金)を使って、総工費約6億円で塀を建替えるという基本的な協定を結んだ。 これにより公式にこの計画を決定した。 具体的な取り決めは、各年度ごとに協定を結ぶことになっている。
住民にこの計画が説明されたのは、翌々年の震災直後のH23年3月16日であったが、出席者の大半がおかしいと思っている中、時間切れで説明会は終わってしまった。H23年度に以前の 説明と異なり、御殿坂の方から工事が開始された。最初、塀際の植物を工事がし易いように整理したが、丁度台風が来て園を閉じている間に台風後の倒木の整理と同時に塀際植物・樹木 の整理が始まったので、この内部で行われていることに私たちは気付かなかった。この間に塀際の植物がバッサリと剪定、移植された。 正門側の方もこの時に剪定され、工事の準備が 整った。
また、御殿坂の方は工事の前に埋蔵文化財調査が行われた。この調査のために大量の土が撤去され、植物が決定的なダメージを受けた。さらに工事によって重機に踏み荒らされたため 御殿坂側はずたずたになってしまった。なお、出来上がった石垣は亀裂が何箇所もある雑な工事であった。
工事前多くの樹木や絶滅危惧種の植物が繁茂していたが、工事終了半年後の状況は、写真のように様相がすっかり変わり、エノコログサとかカナムグラなどどこにでもあるような草が 繁茂して植生が変わってしまった。 H24年の4月初めに御殿坂の工事が終わってしまったが、H24年9月に国の名勝及び史跡に植物園が指定された。 これで正門側の工事はなくなるのかと喜んでいたのも束の間で、文化庁が現状変更の工事を出してしまったので、予定通り工事が行われることになってしまった。 正門側の方は、道路も広いし、日中は印刷業者が道路を作業場に使っている状況なので拡幅の必要性はないと思われる。 拡幅の必要性に疑問があるので、私たちも署名を15,000筆以上 集めたが、工事は止まらず、今年の9月に工事業者が決まり、10月末に埋蔵文化財調査の業者が決まり、その後正門側道路工事がいよいよ始まることになった。
私たちとしては、これまでやることはやったので今年の7月に、原告適格という壁があるため、請求可能な文京区に対して監査請求を起こしたが、つい先日(9月4日)棄却・却下という 結論が出た。 今後は、住民訴訟に移りたいと思い、今準備中である。

(5) 本駒込6丁目マンション建設問題    

「本駒込6丁目のまちを育もう会」

現場の丸紅のビルはもう竣工し、何事もなかったように新しい住人が暮らしている。丸紅の計画の後に同じ通りでマンション計画があり、そのマンションもこの6月に竣工した。その マンションは道路拡幅後も既存適格の建物である。その後、さらに1棟松田製作所というところが売りに出し、東急が買った。隣の東急のマンションの住人と反対運動をしていたが、 その人たちは、自分たちが反対運動している通りにそういう不適格なものを建てないでほしいと会社に要求したが、会社の方は利益追求をして道路分を上乗せしようとした。しかし、 現実に工事が始まると、設計が三菱だったということもあると思うし、私たちものぼりや立て看板までずっと残してはいたが、結果的に適格建築物を建てるということになった。 それがうちのマンションにとっての良い結果とはならなかったが、街並みという意味では、その他のマンションを適格な建築物として建てさせることができた。この紛争を始めた頃 にある人から「建築紛争というのはあなた自身の事には間に合わないかもしれないが、その運動が周りに良い影響を与えることができたら、それはそれで良しとして納得する覚悟を 持ちなさい」というようなことを言われたが、まあ、そういうことにはなったかなと思っている。
私自身は、開放廊下がうちの方の居室に面しているので、開放廊下の明るさとか、先方からの視線の対策として、目隠しをして欲しいとかを要求して、また裁判を継続中である。

<Q&A>
Q : 裁判までゆかなければ先方は、やってくれないのか。
A : そうです。
 

(6) 区政と町会について
                                

 小川さん
私は、3年前まで町会長を7年間やっていたが、ずっとみていると、町会には意外なことがいろいろとある。文京区には町会が150位あり、各地区には町会連合があり、そこに 補助金が出る。例えば文京区で1番大きい大塚町会連合の動きを見ると、29万円が出る。こういう補助金の動きを見ると、とんでもなくいい加減な使われ方をしている。文京区 が発表したそれぞれの町会連合の実績を見ると、大塚連合の場合、伝統芸能鑑賞会と礫南夏祭りの2つが出ている。ところ が年度初めの事業計画には伝統芸能しかない。一般会計の予算にも一項目しかない(29万円のうちの11万円のみ計上)。総会の場で初めて議案が配られるので、これには気付きにくい。 礫南夏祭りの分はどこへ行ったのか言うと、事業実績を見ると、決算の補助金のところで初めて出てくる。おかしいと思ったら、文京区から大塚町連に送られている伝統芸能の金11万9 千円はちゃんと大塚町連の事務局に入っている。ところが夏祭りの17万円は大塚町連には入れないで、その祭りの主催者の方に直に送られている。従って、大塚町連はこれを関知でき ない。ところが大塚町連の鈴木会長がその夏祭りの町会に居り、事務手続きは全部文京区がやっている。大きな町会、各町連、全体の町会連合の事務処理も文京区の区民課、地域センター の所長が事務を担当していて、こういうことをやっている。
文京区の町会連合の収入は618万円で、各種事業をやっているが、これが研修と称して観光施設(足利学校等)に行ったりしている。一方、町会連合の人がどういうことになっているか といえば、文京区は、コミュニティバスの業者選定の審議会の会員に選んでいる。うちの前の道をバスが通るので誰が決めたのかと思い情報公開をかけたら、黒塗りの資料が出てきた。 町会連合の人の名前が出ているはずなのに、出てこない。どうしてそういうことになるかというと、落語家を呼んで伝統芸能をやっているとか、お祭りに何十万使うとかしているのは、 町会長達が高齢化しているため金の使い道が分からないからである。結局酒盛りしたりしてしまう。
町会がお祭りを主体にした地域の共同体として動いてきたから、環境とか防災に対する思考がなくなっている。 一番いけないことは、町会がお祭りをやることである。町会が祭りをやることは、法律で禁じられている。しかし、全部どこでもやっている。祭りというのは割と年功序列で男女を分け て婦人部、青年部などをつくっているが、町会の運営もその形でやっているとシビアなきちっとした論議ができない体質になってしまう。
ひたちなか市の市民課では、宗教的行事は自治会から離せという指導をしている。
また、募金も町会費から出してはいけないことになっている。高裁の判例により募金集めも禁止されている。 しかし、文京区ではこういう指示は出していない。
 みなさんも町会には是非参加して欲しい。町会がこれからしっかりしないといけない。例えば防災に関しては、行政の人は長くて5年 でどんどん代わってゆくため、地域防災のことを長くきっちり見ていられるのは町会しかなくなる。
もう一つ、警察署、消防署、行政(文京区)では部署によって力関係がいっぱいあるので、彼らに任せておくと、結局その力関係のままになって物事が決まってしまう。 ところが町会 が頑張れば縦割りのところに横槍を入れられる。 みなさんも是非町会に出て、総会で祭りはダメ、募金はダメだということでしっかりやってほしい。訴訟を起こす位のことはやっても 良いと思う。
<Q&A>
Q : 赤い羽根関連の募金を町会がやっているが、これもダメなのか?
A : ダメである。
Q : 例えば祭りがありますよという回覧を回すこともいけないのか?
A : 原則、いけないと思う。実行委員会をつくらねばならない。町会は、GHQに禁止されていたが、S26年に町会活動が開放され、復活したが、その段階では祭りは実行委員会形式に
       なっている。現在でも神田祭りでは、実行委員会を通しての町会がある。うちの町会でも実行委員会の旗が残っているが、今はむちゃくちゃである。

<<休 憩>> 身体に良い体操                    

日本姿勢学会  並木さん

・ いつまでも自分の足で元気に歩いていられるよう、簡単エクササイズを紹介したい。
・ 2年前に、「日本姿勢学会」を立ち上げた。この学会の主な目的は、子供たちの姿勢をよくすることである。
・ 日本では余り浸透していないが、基本は、「骨が筋肉を動かす」のであって、「筋肉が骨を動かす」のではない。
・ 筋トレに走る人が多いが、これによりかえって怪我をしやすくなる虞がある。野球の清原、高橋(由)がその顕著な例である。
・ 「骨」を意識して欲しい。これを無意識に実践しているのが、能楽と相撲である。例えば、相撲の「かいなを返す」は、肩甲骨をゼロポジションにもってゆくことによって身体 全体のパワーを使える。これは、人を抱き起こす介護作業にも応用できる。
・ 手は怠けていてもそれなりに使うが、足の指は普段動かさない状態になっている。これを鍛えるには、片足立ちが有効である。
・ 相撲の四股もこれに当たる。足を高くあげる必要はなく、体重を片足にのせることが肝要である。足を上げる際も、筋肉を使って上げてはならない。片足立ちでよろよろする時は、 手を壁等に添えても良い。
・ 歩行時、足を降ろす際には足の裏がぴったりと床につくようにする。踵から着地せず、滑らすようにする。この際膝は曲げないようにする。
・ 巷で流行っている、手を大きく振って大股に歩くのは、間違いである。大股で歩くことは、エネルギー消費という面からは、評価できるが、体がねじれ、腰痛、膝痛等の原因になる。
・ 肩甲骨を動かして柔らかくする事も肝要である。
・ 骨の細胞は、7年で入れ替わるので、片足立ちなどで良い刺激をどんどん与えると、骨が丈夫になる。始める年齢には、こだわらなくても良い。

(7) 澤蔵司稲荷裏問題(その後 Part2)                          

  礒崎さん

これは、崖の上端にかなり接近して大きな建物(重層長屋)が建つという問題である。我が家(小石川三丁目)は、そもそもこの崖の下にあるので、利害関係としては、崖の上の重層長屋 に何かあった時に崩れてくるのではないかという心配と、40枚位の窓がこちらを向いており、賃貸ワンルームマンションであるため不特定多数の人から常に見られているということが プライバシー侵害と感じられることである。
ここから始まった問題であるが、その後裁判所に窓に目隠しをつけるようにということで提訴した。その後、建築審査会に審査請求した結果、第1回目はこの建物の違法性が認められて、 工事は止まり、建築確認も取消された。しかし、その後建築主はほとんど計画を変えずに、前の計画通りに方に建てようとしたので、2度目の審査請求をしたところ、結果的には、前の 建築審査会と同じメンバーとは思えないくらいの冷たい態度で、ほとんど形式的に適当な扱いをされてしまった。ただその中で、最初に問題提起していた崖については、2回目の建築審 査会の途中で長さ6mの杭を47本打つという計画に変わり、実際に杭が打たれたかどうかは検証されていないが、一応計画がそのように大きく変わったことで我家への危険性が減少す ると思われることと、40枚の窓全てに目隠しが付けられたことが、我家が得られた成果であった。(建築確認取消の争点及び建築審査会の取り上げ方については、 別紙の「特記事項」参照)
ただ問題点は残っていて、実際6mの長さの杭を47本打つのはかなりの工事になると思うが、それを本当に実施したのかどうかということが誰も検証できていない。一応見に行ったが、 工事をしているところを見せてもらえたわけではなく、工事の方が帰った後であったので、暗くてよく見えなかった。果たして本当に47本打設したのかどうか不明である。区の方も一応 検査ということで見に行ってくれたようだが、やはり同様の手口でうまくごまかされてしまったようである。従って、杭のことは何もわかっていないままである。ご存知のとおり、横浜の 住友不動産(パークスクエア三沢公園)の件で、杭が支持層に届いていていなくて傾いた事例があるので、これと同じことになる心配も残っている。杭が支持層に届いているのかどうかと いうことは、誰がどのようにして検証してくれるのかは、まだわからない。わかる方がおれば教えて欲しい。
同じ物件の2度目の審査会には壁がある。これは噂なので本当かどうかわからないが、同じ物件について1度は取消をしても区とか市とかから何もクレームがつかないようであるが、2度 取消をするとどうやらその人の地位があぶないと聞いたことがある。だからかどうかわからないが、実際同じ物件で2度目だったので全然違う態度であしらわれてしまった。この点は何か 検証しなければならない世の中全体の問題かなと思う。
私がこの事案から得たことは、先程申し上げたとおり、最初の危険性が少しずつ動いたということであるが、それ以外にも私の事案が他の物件の紛争に少しずつではあるが使われているよ うで、良い結果が出た事案の場合には、少しは貢献できたかなと自負しており、本当にやって良かったと思っている。
これまでの経緯は下記のとおりであるが、太字になっているところが、今回の報告の範囲である。
現在、国交省へ再審請求中であるが、まだ結論は出ていないが、一寸世の中に影響を与えられたかと思うのは、最後の行にあるように、建築士の行政処分がなされたことである。これで建 築士さんも反省してくれて、同様の事案を2度と起こさないことを期待したい。

                 《今までの主な経緯》

        平成23年12月ころ   工事に気づく (事前説明なし)
        平成24年2月13日      文京区建築審査会へ審査請求
                                  *建築主会社 シマダアセットパートナナーズ
                        民間指定機関イーハウス建築センター
        平成24年3月6日    同審査会 執行停止決定(工事完成間近!)
        平成24年5月22日   同審査会 建築確認取消裁決
        平成24年7月12日   文京区長工事停止命令(文京区公告第81・82号)
        平成24年11月1日    建築生が再度建築確認を取得
                       *民間指定機関 富士建築センター(前回と変更)
        平成24年12月26日    区長工事停止命令 解除(建築工事再開)
        平成25月1月11日   再度、建築審査会へ審査請求
        平成25月4月1日    区ワンルーム条例改正(長屋も規制対象)
        平成25年6月25日   同審査会建築確認取消棄却の裁決
        平成25年7月23日   完了検査(工事完成)
         不 明       建物の名称を変更(グランエッグス小石川→ブランコート文京竹早)
        平成25年9月2日      国交省へ再審査請求(まだ結論は出ていない)
        平成25年9月17日     国交省が建築士の行政処分(平成26年1月1日から業務停止9ヶ月)を発表

<Q&A>               Q : この件は、建築審査会の審査事件で、初めて執行停止が認められた事例である。それが建築審査会の委員に影響を与えたと思うのは、ごく最近、 港区白金四丁目のセキスイハウスの案件で、執行停止が認められたことである。やはり最初の段階で誰かが勇気を持たないと、そういうことに ならない。先程の本駒込6丁目マンションのケースと同じで、1個認められると、次は救われるということなので、礒崎先生の事例はこの意味 でポイントが高いと感じられる。 Q : 杭打ちをやったかどうかわからないという話であったが、杭打ちは音や機器の大きななどで気がつかないということはないのではないか。  A(会場から) : 最近のアースオーガー工法では、音は静かになっている。しかし、地中障害物があった場合などには、振動は出る。気にしてい ればわかるはずである。  A :この件は、建物の完成直前に執行停止が認められた事案なので、その杭を打つ時には建物が上にあったが、ある建築家さんに、「建物がほとん ど完成していて、その柱の真下に杭を47本壁に沿って打つような計画になっていたが、それは絶対に無理だ、そんなやり方があるのであれば 教えてもらいたいくらいだ」と言われた。  Q :杭打ちの記録表を出させたらどうか。何をどこに何本打ったかという記録は、施工会社にあるはずである。  A :事業主には誠意がないので、事業主経由では無理である。区長が工事停止命令を出した事案であり、杭打ちに関しても何らかの報告を事業主 から区に出していたので、情報公開請求したが出してくれなかった。いろいろ理由は付けていたが、最終的にはその事業主が同意しなかった というのが現実である。  

(8) 順天堂再編事業の検証(詳細は別紙参照)       
 順天堂再編事業による問題点を考察するネットワーク  福嶋さん

順天堂再編事業の検証をやっているが、B棟の新築工事のうちB棟1期計画の21階、高さ99.72mの高層棟(用途:病院、駐車場)は、H25年12月下旬に仮使用が開始された。現在、 計画敷地内の低層棟新築のため、既存旧2号館を解体中である。東京都に許可処分された総合設計制度による悪影響が出ている。
1つは、21階病院・病棟について、2つ目は排水噴出事件があり、この他躯体防護枠から垂れ落ちる雨水、溶接火花の仮囲い下の歩道への飛散等多々ある。
簡単に言うと21階病棟については、高さ約100mもあって、これは既存不適格建物である。突出しており、予知通り景観破壊である。区道、歩道における圧迫感は否めない。日影の 影響は大きく、区道、歩道に落す影により北側の住居は全体に暗くなった。スカイラインは絶望である。北側からの空視率はほぼ皆無であり、風害もひどすぎる。許可処分された敷地内 の建物の数は2つとしているが、一つは病棟を含む病院本体、一つは棟別の機械設備である。仮使用中に暫定的な救急車の出入口が公開空地にある。
21階東側の壁面にあるLEDの仁のマークであるが、21時(入院棟消灯時間)以降は消灯させた。
厨房の排気ダクトが21階の真下にあり、夜間、余りにもうるさいので消音装置を2基設置させた。仮使用開始から強換気のままだったと事業者側がその原因を説明した。消音装置の定 期点検が必要ではないかと、区の環境政策課からも指導があった。
本計画にともない、2012年から本格的に開始した新築工事などにおける問題点は、
<排水噴出事故>:土壌汚染ということで東京都から指定区域になったが、シアンが検出された箇所の近辺に設置された排水ポンプが2年前に亀裂を起こし、仮囲いを越えて断続的に歩道 の上に排水が落下した。事故発生時、現場の通行人の区民が撮影した検認写真を区への事故報告書(公文書)に無断転載した事実を文京区が認めた。しかし順天堂は、院内警備会社係員か ら詳細な報告を受けていない。事故発生時、現場で区民の抗議・指摘の記述もない。建設会社を報告者とし、再編局長の名前が記載されているが、危険対応に対して順天堂内部組織が相変 わらず、縦割り構造で、速やかな連繋体制と謝罪を含む広報体制が欠落したままである。この著作権侵害に対して、配達証明で小川理事長宛に質問状を出したが、正式な見解や謝罪はない。
<垂れ落ちる雨水>:割愛
<溶接火花>:これに関しても危険防御の対策書を提出させたが、お詫びの印もない。
<上空通路の整備計画>:1年以上かかったが、東京都の情報公開審査会は、本件「上空通路の整備計画」の事前協議公文書の不存在及び非公開決定を取消した。私の異議申し立てに請求 理由が認められ、勝訴を勝ち取った。総合設計制度が許可処分された際に、本件上空通路がどのように計画されるかは未定であった。1号館と結ぶのに既存の1号館のある階数を取り壊し、 接続するのかと思ったが、そうではなく、区道836号上空を順天堂専用で永久使用するため、工事中を含めて昨年説明を求めたが、建物の2倍の範囲の住人などと説明範囲を限定してき たので、神田川景観が阻害される危険性もあったので、区側に猛烈に抗議して、説明会を開催させた。その建物は、1号既存出入口付近を解体し、新たに1号館側敷地内に渡り連絡棟を計画した。これにより21階B棟側の公開空地上空接合のエクスパンション・ジョイントの下がどのように なるかが問題である。本件担当工事長は公開空地の係数低減を0.7だと説明したが、同階から均一に7mにも満たない狭い公開空地に上空通路の柱があるのであれば、公開空地の意味がな いのではないかと危惧している。
都建築審査会に審査請求を行った際、口頭審査で建築主事に「容積率が総合設計制度の許可申請時におけるものと変更後なぜ違ったのか」と説明を求めたが、「容積率は軽微な変更があった が、市街地の環境に顕著な影響を与える範囲ではないので、変更届は不必要である」などと不明瞭で自信のなさそうな返答をしていた。このことについて当方は理解も納得もしない。最近、 清和コーポレーションが立てた共同住宅で、15cm下げたのに民間確認検査機関が建物高さに関して軽微変更届を提出している。
<旧元町小学校の賃貸契約について> : H27年8月31日が契約期間満了であるが、つい最近、企画課の行財政システム調査特別委員会の会議報告を読んでみたが、再契約と久住委員長が 言ったが、区民と締結した契約書の意味が分かっているのであろうか。 本年8月に順天堂再編事業事務局が何も決まっていないと言っていたが、現状回復すらせずに身勝手ではないだろう か。唐突で恣意的な契約違反ではないかと、今納得のゆく説明を求めようとしている。
<本郷交流館の立替問題> : 当初5階建てであった計画が、4階に下がった理由が良く解らない。絶対高さ制限の制定に伴う区民の意見は思慮されていないのであろうか。

(9) 柳町小学校「やなぎの森」問題                            

浅田区議

クイーンズ伊勢丹の裏手にある柳町小学校の「やなぎの森を守ろう」という運動をしている。柳町小学校には下記のように生徒数の増加と教室不足が生じている。
                                    2006年(H18年)   2014年(H26年) 
           柳町小学校        201人    →  380人 
           本郷小学校        423人    →  451人
柳町小学校の配置は下図のようになっているが、この植栽部分の「やなぎの森」に校舎を増築しようという計画がもちあがっている。何故このような話になったかといえば、柳町小学校の場合、 15年程前には130人くらいだったのが、生徒数が2006年から2014年にかけて201人から380人になり、さらに来年になると、転入を除いて、現在いる子供だけで420人以上になると 言われている。本郷小学校でも423人から451人になった。8年前には、統廃合計画があったが、今回は全く逆で、ともかく子供が増えて教室が足りなくなった。一番問題になっているのが、 柳町小学校と本郷小学校である。

最初、教育委員会は、図の体育館/プールの位置に増設する計画を出してきたが、PTAの方々とその案について3回話し合った結果、本校舎との連繋等の問題からまとまらなかった。それで去年 の11月頃から「柳町小学校教室等増築検討委員会」が発足し、協議会がこれまでに5回開催されたが、4回目の時に突然植栽部に建てる案が出された。PTAの方としては、ここを潰されては 困るということで、反対の署名を1,300筆くらい集めた。ここの植栽には立派な自然が残されている。 50年くらい前は、ここは元々何もなかったところであるが、近隣の方が木や竹を植え たりしたもので、今は本当に立派な竹林等になっている。都心にこれだけの自然が残っていることは大切なことであるが、わざわざこれを潰して校舎を建てるという計画である。ここは子供た ちにとって隠れ家的な存在で、遊び場でもあるので、教育上も問題である。卒業文集等にも必ず“やなぎの森”が出てくるくらい親しまれている。なおかつ、“1人1本”といって、入学時に 自分の木を定めて6年間その成長を見守る制度もある。このような場所を潰して増築することはないだろうというのがPTA等の基本的な意見である。PTA総会では、この計画には反対の決議が上 がっている。 教育委員会には、過去の五中/七中問題の際の新大塚公園に校舎をつくってグランドをわざわざ七中に設けるという案の場合を見てもわかるとおり、自分たちの意見を絶対に曲げないぞという 姿勢が見られる。是非、教育上の観点から、及び区民の声を入れて、問題を白紙に戻して議論して欲しい。
<Q&A>
 Q : 増築は、具体的にどのようにするのか。
 A : 取りあえず本校舎と“やなぎの森”の間に仮校舎を建築する。これは合意済みである。
         その後、“やなぎの森”の位置に3階建12教室の校舎を建設する計画である。
 Q : 反対している人たちの案ではどこに増築しようとしているのか。
 A : 現在に体育館の位置である。
 Q : 何故その案が反対で潰れたのか。
 A : 反対したのではなく、内容についてPTA側が同意しなかったためである。
 Q : ごたごたしている間に案が変更されたのか。
 A : そのとおり。 原案では、9教室であった。
 Q : 定員増の分は、指ヶ谷小と礫川小に振り分ければ良いのではないか。
 A : 小学校は、決められた学区のエリアがある。
 Q : そんなものは、変えれば良いではないか。
 A : 途中で変えると、それぞれの住人や町会が問題にするので教育委員会としては、現行のままゆきたい意向。
 A(会場): 礫川小も六角坂・堀坂のマンション等ができると溢れる見込みである。
 Q : 文京区の教育施設の計画がずさんなのではないか。行政の問題はさることながら、区議さん達も先見性が
         乏しいのではないか。
 A : さらに先には、子供たちは減ってゆく見込みである。
 Q : それなら増築などやめて、生徒を割り振れば良いだけの話ではないか。
 Q : 練馬区の場合には、まちづくり条例があって、大規模建築の場合には学校のキャパシティ等もちゃんと計算
         するが、本区にはないのか。
 A : この学区に子供が何人いるかという計算のみで、建設予定のマンションは計算に入れていない。
 Q : 10年、20年先の子供の数の推計表などはないのか。
 A : 推計はあるが、今回の事態はその推計からは出てこない。真砂小と元町小の統合の場合も、260人であったが、
         各学年2クラスということで絶対大丈夫と言い切っていたが、マンションの新築と子育て世帯の転入のため今度
     480人になる。特に転入の予測は困難である。
 Q : これは大きな問題である。広く議論する必要があるのではないか。議員も頑張って欲しい。
 Q : 情報公開請求したが、先程話のあった建築計画(体育館側の案)が出てこないので、これは机上の空論であった
         のではないかと疑っている。本来であれば、いくつかの案があれば、学校というのは避難設備にもなるので、
         そのプランで可能かどうかについて関係行政庁と必ず協議するはずである。それがないということは、PTAと協議
         しているというポーズだけしておいて、実は何もしていなかったのではないかと疑っている。
  A : “案”として出したものではなく、参考として、こういうものもあるとして考え方を出した。  
(10) 納骨堂問題                                    
田中区議

大和郷に興安寺が突然3,600基の納骨堂建設を発表したが、これは住民には寝耳に水の話であった。何故興安寺がこのような案を出したかというと、前年(2011年)に地方分権一括法 という法律が通って、いろんな許認可とか権限が自治体に下ろされてくるようになった。今までは、墓埋法といって墓地とか埋葬に関する国の法律があって、都が許可をする権限を持っていた が、それを特例ということで各自治体に下ろしている。しかし、地方分権一括法で自治体がやりなさいということになって、文京区は都の条例をそのまま横引きした。興安寺はそのチャンスを 待っていた。実際は23区の中で他のところは、既にお寺さんがあって、実績があって、そこに納骨堂をつくるならOKだとか、お骨一体につき幾つという駐車場の設置義務がきちんと定められて いた。これに対して、文京区はしていなかった。さらに墓地等と周辺の調和を図るということも書き込まれていなかった。興安寺は賢く,時を待っていて計画を進めた。大和郷の方々が反対 運動をし、興安寺もこの計画を引っ込めた。しかし、条例がそのままでは、またどこかで現れるおそれがあるので、議会でも問題視して条例を改正した。一方、条例は改正されたが、少々失望 したのは、区内にある仏教団体が承認したからということで通したが、既存の寺院にとっても甘くなっていることである。これは新規参入で突然街中に納骨堂ができなくなったのことは、 前進であるが、お寺さんには甘く出来ている。
話が発展して、実は私の家の近くに何ら説明もなく、突如ある日地下がチルドで遺体を保管しておく遺体安置所、上が葬祭場になっている施設が出来てしまった。近隣住民には、お寺さんが法 事等で誰でも利用できる場所をつくるということだったが、蓋を開けてみたら、霊安所、葬斎所ということで驚いた。非常に困ることには、前面に十分な幅をとっていないため、大型の霊柩車 はいつも歩道に溢れている。それから、遺体も公道からそのまま搬入されるため、日本医大に来る人が横を通り、またここは通学路にもなっている。このことを訴えてきた結果、条例にはなら なかったが、要項ができた。しかしこの場合も既存のお寺さんの場合は、何をやっても良いということに出来ている。ただ、突然、商店街の真ん中とか、学校の隣につくるというようなことは できなくなり、一応の歯止めがかかった。ただ、現状のものは今のままでよいので、近隣住民はむき出しの遺体搬入のそばを通らざるを得ない。これが、ご存知の区民葬斎所になった「さくら ホール」というところである。

(11) 文京区で起きている諸問題            

田中区議

区内には、問題が多くある。 <区長は区民の声をしっかり受け止めているか> : 最近区長は、「なんちゃって育休」で有名になり、都や内閣府の審議会等の委員を受けている。これも余り明らかにはなっていないが、 12日と13日に「女性が輝く社会、云々」という安倍さん、海外から著名な50人、国内から50人を招いて非常に空疎な会議が予定されている。成澤区長はそこに招待されている。女性手帳を作 ろうと言って評判の悪かった内閣府の「少子化危機突破タスクフォース」の2期目の委員もしている。「ハッピーベビー・プロジェクト」も立ち上げた。また、「新たな公共」というのも 区長の知合い、仲間グループの多くの人たちが、委員になっている。
区長が本当に区民の方を向いているのか、自身の知名度を上げて次の何かを狙っているのかを注視してゆきたい。
<市民は声を上げているか> : 足立区戸籍住民課の民間委託がけしからんという運動が盛り上がっている。これはプライバシーを全部他会社に知られてしまうからである。足立区は、 文京区よりも進んだことをしていて、区民が反対の声を上げた。このため、区は、当局(東京労働局等)から叱られた。町田市では、市民が財政分析をしている。また、多摩市では、 「男女平等参画推進条例」制定にあたって、市民案を作成して焚きつけている。 このような動きが文京区にもあってくれると 良いと思う。

<職員の能力と政策力> : 職員は残念ながら行革により人数が大幅に減らされた(2,000→1,812人)。しかし、減らされた以上に非常勤の人たちが増えている(現在:1,100人)。 また、上級試験を受ける人が減少しており、技術系の職員が人材不足になっている。このため、都市計画等については、他部門に比べて能力低下があると言われている。

<議員の働き> : 二元代表制の意味が分かっていない。二元代表制は、首長も議員も皆から選ばれているところが国会と違う。この違いが分からず、政策協定を結んだ区長に対して賛成 していれば楽である。本来は、区議は与野党とも首長を監視しなければならない。しかし、残念ながら区長与党、区長野党という言葉が残っている。区長与党は、区長の政策に賛成していれ ば良いという雰囲気がいまだにある。従って、行政と馴れ合いにになって、緊張感がない場合も出てくる。さらに驚いたのは、議会にパソコン持ち込みが可になってからは、自分の委員会 なのに発言をしないで、趣味・嗜好のサイトの検索に熱中している人もいる。 また、食育とかシングル・イッシューにしか興味を持たない人が増えている。専門があるということは、大切であるが、区政を俯瞰的に見つめると、自分の専門の位置もわかるが、それをし ない議員も増えてきている。

《区長の掲げたマニフェスト》と《掲げた政策の点検》 区長は、1期目も2期目も「子どもたちと高齢者への応援歌」を掲げた。そのあと第3段階として「新たな公共」による社会システムの構築を掲げた。 参考資料2に子供と高齢者にどういう 金の使い方をしているかを示した。
それから待機児童(参考資料3)は一向に減らないし、育成室の待機もある。しかし、見てみると子供達と高齢者というより、子育てと親の就労支援をしている感がある。というのは、本当 に子供の支援をしてくれるのであったなら箱物を作り、かつ内容が伴っていないといけない。しかし、千石の児童館は、民間委託したらどんどん指導員が辞めていってしまうとか、子供が40 人の部屋が2室、実質80人いる。質が確保されていないと見ている。本当に子供たちを支援しようと思えば、数を増やすとか親の就労支援をすることではなく、子供自身の育ちのために良い環境 に置いてあげるということが一番大事だと思う。なお、国が法律をつくって移行を促している認定こども園は、色々問題があって27年度は区立、私立とも移行する園はない。
それから高齢者にはずっと冷たい区政であったが、やっと施設の整備だけはするようになった。高齢者の箱物は、これまで遅れて何もしなかったが、施設だけは下記の4つを作ってゆく。

・	特別養護老人ホーム:教育センター跡地(洛和会 29年3月、春日国有地は業者未定)
・	短期入所生活介護施設:小石川5丁目区有地(珠泉会、27年1月)
・	介護老人保健施設:文京福祉センター跡地(日成会、29年4月)
・	小規模多機能型居宅介護施設:大原地域活動セン軒跡地(東京保健生活協同組合28年当初)

しかし、国が在宅で看なさいという方針を非常に強く打ち出しているので、介護保険も関わるが、どんどん改悪(「要支援」が切捨て同然となること、特養入所条件の厳正化、一定の収入の ある人の2割負担化等)されてゆく。介護の社会化といって当初消費税を取るといった精神はどこえ行ってしまったのか。こういう情勢下で文京区がどのようなサービスをきちんとやってゆく かということがこれから問われてくる。
それから区長が「新たな公共」ということを高らかに掲げたが、私はこれは失敗したと見ている。というのは、「今までの担い手は町会とか各種団体であるが、これらでは地域の課題をなか なか解決できないし、行政の力には限界があるので、今後は行政サービスの提供主体を区民、地域活動団体、NPO,事業者に広げ、地域の課題を解決してもらいたい」と専門家会議で区長は挨 拶しているが、議事録を見ると、この専門家たちはどうも「文京区を一つのフィールドとして風穴をあけたい」と言っているように、文京区を一つのフィールドとしているだけと思える。今 までに地域の課題が解決され、巣立ってきたところはひとつもない。しかし、これをマネージメントしているNPOに23年からいままでに2,600万円位の金が出ている。
本来どこの自治体も10年位前から「市民協働条例」とかを制定して、NPOを育ててきた。文京区はこれを一切してこなかった。しかし今頃それをするのが嫌だから、「新たな公共の担い手」 という名前をつけて始めたが、残念ながらそれはあたっていない。

他にも問題点は数々ある。
(@) 聖域である補助金
補助金は聖域でアンタッチャブルだという世界でずっと来たが、私もしつこくて情報公開等で調べてきたが、領収書がないものが一杯ある。また、会員のための会報とかは本来補助金で作っ てはいけないが、実際には使っているところが多く、問題がある。5月に「文京区補助金検証の仕組み検討会」が立ち上がって、何年かかるかわからないが、補助金について検証することを 約束してくれた。
(A) 進む外部委託 外部委託がどんどん進んでいるが、進めて良いところはあるが、育成室の人がどんどんかわるとかの問題が起きている。戸籍住民課の窓口、福祉系住宅の高齢者住宅や住み替え家賃助成など プライバシーに関わるものまで委託し始めた。福祉系住宅の場合、収入もきちんと申告するし、取立てもする。ここまでしても良いかということと、窓口というのは区民が直接接するところ なので、本来行政の人が区民の声を拾い上げる必要があるはずである。そういう所を安易に委託してゆくことは問題である。
(B) 区有施設のあり方
行財政改革推進計画で示された施設の方向性を参考資料4に取りまとめたが、行革の中でこういうことをやるのは間違いだと思われる。施設の老朽化だからということで行革の中で一方的に 出されたが、本当は文京区内の施設を老朽化だけではなく、どういうところにどういうものがあったら良いか、それを区民ときちっと話合いすべきだと思う。現に福祉センターは、表中に記 した通り、既に介護老人保健施設に変更になっている。また、アカデミー向ヶ丘も社会福祉協議会の仮住まいに変更になっている。なお、旧岩井学園は、売却となっているがまだ買い手がつ かない。これらのことも区民には、ちっとも知らせていない。
一方、シビックセンター改修基本計画は27年度から28年度にかけて策定される。なお、改修は、何フロアずつ順次やってゆくので、引越しは必要ない。まだ金の支払いもない。 (C) 組織改正
組織改正も大きな問題で、子ども部門の一元化が27年度から行われる予定であったが、首長の権限が強くなる安倍政権の教育委員会組織そのものの改正があるため、27年度は行わないことに なった。組織改正が行われると教育委員会は巨大な組織になり、首長が深く介入する実質改悪である。
(D) 学校快適化と教室増設
学校の耐震化が終了したとして、築30年以上の学校の快適化工事を行う。これに50億円の基金を積み立てた。
(E) 再開発を含むまちづくり
しっかりしたビジョンを持っていなければいけない。失望と怒りを感じるのは、絶対高さ制限が導入の際に、東京都との協議で制限値を変えたところがあるが、私の住んでいる木造密集地域は、 今までは3階くらいしか建たなかったのが、今後いきなり5階が建てられるようになった。木密ところで5階を建ててどうするのかと思うが、これは木密をやめて道路を拡げようとすると、 5階位建てられるようにしてあげないといけないだろうからということで決まったようである。あるいはこの一帯の木密というのはほとんどがお寺さんの土地であり、自由勝手にはできない。 こんなところを17mにしてどうなるのか、きちんとまちづくりを考えるべきではないか。

<Q&A>
  Q : 本来は文京区に入るはずがないと思うが、国家戦略特区に入ったことは何か影響は出るか?
 A : 地域会議はまだ1回も開かれていないので詳細は未定である。
   特区とは異なるが、文京シビックセンター内に国連機関「UN Women」の日本事務所が設置される(無料貸与)。議会に無料という説明はなかった。
 Q : 区民と区長の対話集会が全くなくなった。
 A : 煙山区長の方がまだましであった。

(12) その他の問題
(@) 「春日・後楽園駅前地区第一種市街地再開発」進捗状況藤原区議、資料配布のみ)
(A) 都営三田線春日駅エレベーター藤原区議、資料配布のみ)
(B) 集会のお知らせ ( 文京区職員 佐々木さん )

           文京自治研究会 2014
             日 時 : 2014年11月16日(日) 午後1時〜
             会 場 : 文京区民センター 2A会議室
             主 催 : 文京自治研究集会実行委員会
             (電話 : 03-3816-1016  Fax : 03-3816-3519)
                                       (文責 : 荒木)