葛飾区白鳥二丁目(四つ木斎場付近)にて。
ミカン科ミカン属の常緑小高木。ナツミカンは、日本を含むアジアの温暖な地方が原産地であり、寒さに弱い。
晩秋には実が大きくなり色づくが、そのままとらずに初夏までおくと樹上で熟し、酸味が抜けて食べやすくなるため、
初夏の食べ物として「夏みかん」の名で売り出されるようになったらしい。
江戸時代中期に現在の山口県長門市に漂着した果実の種子が夏みかんの起源といわれており、
原木は天然記念物に指定されている。明治時代に山口県萩市で普及したのち全国に広まった。
五月頃白色5弁、花径3cm位の芳香のある花が咲く。山口県では「県の花」に指定されている。
街路樹に果樹が用いられるのは珍しいが、白鳥町では、都会育ちの子供達にも良い思い出を作り、
「ふるさと」意識を持って貰おうと言うことで、町内にナツミカンを中心にカキ、ブドウ、ザクロ、
等の果樹を植え、町会で管理をしている。
なお、観光で訪れたギリシャのアテネ市内には、ナツミカンと同じミカン科ミカン属の常緑小高木である
ダイダイ
(bitter orange, sour orange/Citrus aurantium)が街路樹として数多く植えられていた。
ナンキンハゼは、
トウダイグサ科シラキ属の落葉高木であり、原産地は中国である。江戸時代に長崎から全国に伝わったと言われており、
また、街路樹に採用したのも長崎が初めて(戦後)とのことである。秋の紅葉が大変見事であり、樹形、葉形も美しい。
現在は長崎市の「市の木」に指定されている。また、英名が示すとおり、白っぽい種皮には蝋分が多く含まれている。
三鷹市 中央通りにて。
マメ科ハリエンジュ属」の落葉高木。和名の「
ニセアカシア」は、英名の「false acacia」の
直訳であるが、ニセ(偽)ではあまりにかわいそうだということで、間違いではあるが単に「アカシア」
とか、若枝に棘があることから「ハリエンジュ」などともよばれている。北アメリカ東部原産で高さ
20m以上になるまめ科の落葉高木であるが、成長が早く、学生時代ボーイスカウトにもらった種を庭に
蒔いたところ、まさに「ジャックと豆の木」の豆のように急成長し、
2−3年で二階より高くなったことが思い出される。花はきれいであるが、風に弱いことやアブラムシがつきやすいことなどから
最近は余り植えられていないようである。
まめ科ネムノキ属の落葉高木。和名のネムノキ(合歓の木)は、
夜は小葉を閉じ,葉全体が眠ったように垂れてしまうことに由来しているようだ。
英名はMimosaのほかPersian Silk Tree 、Pink Siris等と呼ばれている。イランあたりから東南アジアを経て日本の東北地方北部まで自生する。
丘陵地のゴルフ場でも自生しているネムノキを見かけたことが何度かある。
6月から7月にかけて咲く虹のようなピンクの羽毛状(おしべ)の花が気に入り、20年ほど前に東北自動車道の佐野SAで苗木を購入し、
自宅マンションのバルコニーに鉢を置き楽しんでいたが、残念ながら2〜3年で枯らしてしまった。街路樹として利用されているのは、
都内では大変珍しい。
杉並区永福三丁目、井の頭線「永福町駅」近くの井の頭通り
にて。 和名のハクウンボク(白雲木)は、
雲がたなびく様に白い総状の花を付ける事から命名された。オオバジシャ(エゴノキの別名はチシャ)
とも呼ばれるが、学名のobassiaは、これがなまったものと言われている
(Styrax は storax:安息香を産出する樹木の古代ギリシャ名)。エゴノキ科エゴノキ属の落葉小高木であり、
東京では5月の連休前後に花を付ける。元来、ハクウンボクは、釈迦がその木の下で没したことで有名な
沙羅双樹(インドに多く生育するフタバガキ科の亜熱帯性の木で、日本では植物園等の温室でしか
見られない。)に見立てて寺院に植えられていることが多い木であり、街路樹としては珍しい。
材は淡い黄白色、緻密でろくろ細工に使われ、杓子、こけしなどを作る。
天童市では将棋の駒の材料に利用しているとのことである。
港区南麻布四丁目(左)及び 板橋区南常盤二丁目(右)にて。中国原産のモクレン科 モクレン属の落葉高木。略してハクレンとも呼ばれる。同属のコブシ同様、 3月にソメイヨシノより少し早く咲く。 花は文字通り白色で、花径は12〜15cm、花弁は倒卵形で多くは6枚であるが、花弁に似た顎が3枚あるので一見すると9枚前後に見える。 葉は、長さ8〜15cm、幅4〜8cm、広卵形。園芸樹として単独に植えられる場合が多い。街路樹としても高崎市、 浜松市を始めとして多くの都市で採用されている。東京ではコブシに比べるとハクモクレンの街路樹は、現状では格段に少ないが、 花が美しいので今後増加することが期待される。
一方、紫色の花が美しく庭木として広く利用されている落葉低木のモクレン(別名:シモクレン)とハクモクレンとの雑種で
あるマグノリア・ソウランギアナ(Magnolia soulangiana)は、サラサモクレンとも呼ばれ、
ハクモクレンに似たピンクの大型の花が美しく、
高木でもあるのでこの写真(
千代田区西神田三丁目、西神田ランプ入口付近)のように街路樹にも利用されている。
文京区小石川四丁目付近にて。ミズキ科ヤマボウシ属の落葉小高木。 ハナミズキの正式の和名は、アメリカヤマボウシである。 英名は、樹皮から犬の皮膚病の薬が採れることから付けられたと言われる。花、紅葉、 及び実(赤) が楽しめることから人気があり、最近急速に本数が増えている模様。しかし、成長が遅く、また、 樹形はあまりきれいだとはいえない。植樹本数は、1992年の6位から順位を4つ上げ2位になっている。
小金井市貫井北町にて。 小金井市は、
市のホームページでもPRしているようにヒトツバタゴやハンカチの木などの珍しい木も街路樹として
使用している。ヒトツバタゴは、
モクセイ科、ヒトツバタゴ属の落葉高木(葉は対生)で、
俗に「ナンジャモンジャ」と呼ばれている。通常は、植物園等でしか見られない珍しい木で、
英名及び学名の通り満開時にはまさに木に雪が積もったように見える。江戸時代の尾張(愛知県)
の本草学者 水谷豊文が発見した際にトネリコ(方言では、タゴノキ)の仲間と判断し、単葉のタゴ 、
即ちヒトツバタゴと名付けたとのことである。このためか名古屋では、現在でも街路樹としてかなり多く
用いられているようだ。、なお、数年前銀座のみゆき通りのコブシが何故かそっくりヒトツバタゴに植え替えられた。、
なお、広辞苑の説明を借りると、「なんじゃもんじゃ」は、「関東地方で、その地方には見られない
種類の大木を指していう称。千葉県香取郡神崎(コウサキ)町神崎神社境内のもの(くすのき)、
東京都明治神宮外苑のもの(ひとつばたご)が名高く、その他筑波山のもの(あぶらちゃん)、
山梨県鶯宿峠のもの(りょうめんひのき)などが知名。あんにゃもんにゃ。」
世田谷区上北沢二丁目(都立松沢病院前)及び府中市日吉町東京競馬場内にて。
ヒマラヤスギは、ヒマラヤ北西部を原産地にもつマツ科ヒマラヤスギ属の常緑高木であり、ヒマラヤシーダーとも呼ばれる。
(シーダーと呼ばれる仲間は、元来”神聖な木”とみなされているようである。)枝が水平に張り、
先端がやや下垂したバランスのよい端正な樹形をもっている。わが国には、明治12年(1879)頃渡来したようだが、
幹や葉も美しいので、公園や社寺の境内などに植えられることが多い。しかし、
堂々とした樹形に似合わず、根が浅く風に弱いためか、街路樹として用いられることは割合少ない。
20〜30年前、
強風によって日比谷公園内のヒマラヤスギの多くが、選択的に倒れてしまったのを目撃したこともある。また、大気汚染にも弱い。
写真(左)の松沢病院前の樹は、たった3本しかないが、巨木である。
府中の東京競馬場裏の構内道路(中央高速沿い)の並木(写真右)
は数も多く、大変見事である。
ヒメリンゴ(Crabapple/Malus prunifolia)
荒川区西尾久2丁目付近にて。
プラタナス類(plane tree, sycamore/Platanus acerifolia)
バラ科リンゴ属の落葉中高木。中国原産。イヌリンゴとも呼ばれる。
春には白い花が咲き、秋には、小さな赤い果実がたくさんつく。街路樹としては、青森市内などではかなり広く植えられているようであるが、東京では珍しく、むしろ盆栽用や庭木としての用途が一般的である。ヒメリンゴの変種である
マルバカイドウ(Malus prunifolia var. ringo Asami)は接ぎ木するリンゴの台木として利用される。
写真の都電 小台駅から南に向かう都道458号線(小台大通り)の街路樹は、数百mに亘って植えられており、樹勢もよい。
新宿区弁天町付近(外苑東通り)にて。
スズカケ科スズカケ属の落葉高木。 通常、プラタナスと呼ばれてい
るが、街路樹に用いられているのは大部分が、「スズカケノキ」と「アメリカスズカケノキ」との交雑種である「モミジバスズカケ」である。
ボタンのような実がなるため英名では、「button tree」とも呼ばれる。なお、プラタナスは、選定に強いこともあり、
様々な樹形が見かけられる。 日本では、数mの主幹と若干の側枝を残して坊主に近く強い剪定をする場合が多いが、上海市内(写真右)
や西湖(杭州)周辺の道路では、2-3mの高さの位置から太い横枝を数本残すように剪定されていた。
昔スイスのレマン湖畔で見たプラタナスは、
上部の枝がジャングルジムのように見事に剪定されていた。また、M女史の観察によるとローマでも、
若木の際に矯正したりして3本にして伸ばしているようである。
モミジバフウ(sweetgum/Liquidambar styraciflua)
板橋区高島平三丁目赤塚公園付近(左)
及び
荒川区南千住四丁目(右)にて。
葉の形や見事な紅葉からカエデ科の木と間違えられることもあるが、モミジバフウは
マンサク科の木である。葉が、対生(対称に付く)であるカエデと異なり、互生(互い違いに付く)であることで
見分けられる。「フウ」の仲間のうち通常植えられているのは、「モミジバフウ」である。
樹形、幹及び葉ともきれいであり、今後植樹本数の増加が予想される。渋谷区世田谷通り及び新宿区大久保通り
の中国原産の「フウ(タイワンフウ)」の並木は、本数も多く、
かなり良い景観となっている。
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中央区築地(聖路加病院前)にて。 ヤナギ科ハコヤナギ属(Populus)の落葉高木。ポプラは風に弱いためか、都内では非常に少ない。 カロリナポプラが築地に植えられたのは、 このあたりに東京に設けられた最初の外国人居留地があったため、外国人の意見が取り入れられたのではないかと言われている。 なお、ハコヤナギ属の樹木には、箒状の独特の樹形でポプラの代名詞のようになっている セイヨウハコヤナギの他にも、樹形や葉形の異なるドロノキ(Populus maximowiczii)、ヤマナラシ(Populus sieboldii) などがあるが、北半球特に北欧やロシア等の寒冷地では主要な街路樹の一つとなっている。
港区台場(フジテレビ本社、お台場海浜公園付近にて)。
ホルトノキ科ホルトノキ属の常緑高木。国内では、房総半島以西の暖地に生える。
オリーブに似た実をつけることから学名(Elaeocarpus sylvestris)
がつけられており、和名のホルトノキ(別名:モガシ)も、
江戸時代薬用として珍重されていたオリーブ油(別名:「ポルトガル油」,訛って「ホルト油」)に由来しているようである。
実際には形が似ているだけでこの実から油は採れないが、江戸時代の大学者平賀源内が誤認してしまったことに起因しているようだ。
葉形や葉の付き方がヤマモモやヤマモガシに似ているが、秋から翌春にかけて、写真(右)のように順次紅葉したのち落葉するので見分けやすい。
お台場海浜公園沿いの道路にはかなり広範囲に植えられている。
府中市「府中芸術劇場」付近にて。 マツ科マツ属の常緑高木。古くは、織田信長が東海道、東山道にサクラ、マツ、
ヤナギの街路樹を植えたとの記録があり、また、明治7年(1874)に銀座に初めて街路樹が植えられた際
にも、マツとサクラが選ばれたように、マツは並木として歴史のある木である(技報堂出版「街路樹」より)。
しかし、環境変化に弱いためか、現在都内の街路樹としては、きわめて数が少なく、
ベスト20には勿論入らない。街路樹以外では、皇居前広場や
小平霊園などで見事なマツが見られる。
文京区本郷六丁目(言問通り)にて。ブナ科マテバシイ属の常緑高木。枝別れが多く、密生するので昔から防風・防火用に用いられてきたが、
公害にも強く、街路樹としても広く用いられている。「マテバシイ」の名の由来は、葉型が「マテガイ」
に似ているからとの説があるようだ。
足立区一ツ家2丁目(環七通り)にて。
アオイ科フヨウ属の落葉低木。ムクゲの学名( Hibiscus syriacus )は、
「シリア原産のハイビスカス」という意味であるが、実際には中国・インドが原産地である。
別名のハチス(花托が蜂の巣に似ていることに由来している。蓮も同様の意味でハチスとも呼ばれる。)
も日常会話でよく使われる。中国では木槿(ムーチン)と呼ばれており、「ムクゲ」は木槿の音読み「もくきん」
が転訛したものともいわれる。ムクゲは生命力が強く、日照りや病虫害にも強い。また、よく枝分かれし、
一日花ではあるが花期が長いため、古くから庭木などとして植えられてきた。しかし低木であるため、
単独で街路樹に用いられることは少なく、この写真や日比谷通り(増上寺前)などに見られるように
クスノキ等の街路樹の下植のツツジ等と混植されている事が多い。
花の少ない夏から秋にかけ一重または八重の淡紫色・淡紅色・白色などの花をつける。
なお、ムクゲ(無窮花:ムグンファ)は、韓国の国花に指定されており、切手(左:日本、右:韓国)
も発行されている。
新宿区西新宿6丁目(新宿アイランド西棟付近)
にて(写真左・中、右は
江東区有明国際展示場付近)
。 スギ科の落葉高木。メタセコイアは、生長がきわめてはやく、円錐形の樹形が見事であるが、落葉樹であり、また、
剪定すれば樹形が損なわれてしまうので、街路樹よりは公園樹に適している。築地の朝日新聞社前にも
あるが、樹形はイマイチである。
千代田区三崎町一丁目
(JR水道橋駅付近の皀角(さいかち)坂下にて)。
モッコク属の常緑高木。日本列島(関東南部以西、主として太平洋側)、朝鮮半島南部、台湾、中国、インドに至る暖地に自生する。
しゃもじ形の葉が美しく、また樹形が自然に整うため、庭木としてひろく植栽されているが、街路樹としてはあまり見かけない。写真の
JR水道橋駅から御茶ノ水駅にいたる皀角(さいかち)坂は、その名のとおり昔、サイカチの並木があった
ことに由来しているそうだが、今はベニバナトチノキが主体でモッコク等が混植されている。
モモ(ハナモモ) (peach/Prunus persica)
文京区湯島三丁目(春日通り)にて。
中国原産のバラ科サクラ属(モモ亜属)の落葉小高木。モモの原産地は、種小名にペルシカ
(persica)とあるようにペルシャ(イラン)と考えられていたが、20世紀に入って黄河上流の高原地帯で原生地が発見された
とのことである。モモは、通常果実を食用とするために栽培されるが、花も美しく観賞用にも古くから栽培されている。
モモの観賞用の品種は総称して「ハナモモ」と呼ばれ、八重咲のものが多く、色もピンク、白、紅白の咲き分けなどがあり、
形も枝垂れ、箒桃(枝が上を向く)等がある。3月のヒナ祭りには切花としての利用が多い。
ヤマボウシ(Japanese dogwood/Cornus kousa)
千代田区富士見一丁目付近(早稲田通り)にて。
ハナミズキと同属(ミズキ科ミズキ属)。本州以南から台湾、朝鮮半島、中国にわたって分布する落葉高木。
横枝が水平によく伸びる特徴がある。和名のヤマボウシの名は、丸い集合果が法師の頭に似ていることに由来しているものと思われる。
なお、この直径1.5cm位の集合果は、別名ヤマグワともいわれ、食用に供しうる。ハナミズキと異なり、花(総苞片)が葉が出た後に上向きに
咲くため、目立ち難いこともあり、街路樹には余り広くは採用されていない。
千代田区神田駿河台(JRお茶の水駅/聖橋口付近)にて。
千代田区丸の内(日比谷通り)にて。 ヤナギ科ヤナギ属の落葉高木。最もポピュラーなヤナギで万葉集にも歌われるほど古くから人に植えられてている。
原産地ははっきりしないが、中国説が有力。学名が示すバビロニアには、野生の物は無いとのことである。
シダレヤナギは、葉のない期間が1〜2ヶ月しかなく、常緑に近いため、ほぼ年間を通して楽しむことができる。
上野不忍の池付近の並木の一部は、さらに巨木で見事である。
しかし都内の植樹本数は何故か低下を続け、1992年には、10位であったものが、2000年には
16位まで下がってしまったのは残念である。銀座のエンジュを柳に戻す動きもあるようなので、
その復権に期待したい(2004年では、15位)。
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新宿区余丁町余丁町通りにて。ユズリハ科、ユズリハ属の常緑高木、福島以西の本州、四国、九州、沖縄、台湾等に自生。
和名のユズリハ
港区元赤坂、迎賓館前にて。
モクレン科モクレン属の落葉高木。ユリノキは、葉の形からハンテンボク(半纏木)とも呼ばれる。15年ほど経って咲き始める花は可憐であるが、
樹冠近くに咲き、また黄緑色であるため目立ちにくい。巨木になり、樹形、葉、幹もきれいなためかなり多く植えられているが、
今後更に順位を上げて行くのではなかろうか。英名の「チュ-リップ」は、勿論その花の形に由来しているが、和名の「ユリ」
より適切に思える。北米産の木であるが、新宿御苑
や小石川植物園には明治10年頃初めて日本で植えられたユリノキの巨木がある。上向きに咲く花の底には、甘い蜜かなり多量に
分泌されるため、養蜂の目的で植樹されることもあるようだ。カラスまでが蜜を求めてユリノキの花を食い散らかしているのを
小石川植物園で目撃したことがある。ユリノキは、また、イチョウ、メタセコイア等とともに「生きている化石」とも言われる。
ヤシ科の常緑高木。 ヤシ(椰子)は、南洋のシンボル的な植物であるが、−15℃までの耐寒性のある同じヤシ科の
シュロ(シュロ:Trachycarpus fortunei /トウジュロ:Trachycarpus wagnerianus)
は別として、種類によっては可成りの耐寒性(−5℃程度まで)を持っており、
東京でも充分に生育が可能である。最近(2000)の東京都の「街路樹マップ」による植樹本数の順位では、
やはりヤシ科のビロウが第19位にランクされているが、これらのほとんど全数が伊豆の離島のものであり、
都心近くでは、主として夜間の冷え込みの少ない海岸付近に、数は少ないがビロウに似たワシントンヤシが
植えられている。ワシントンヤシ(別名:オキナヤシ)は、葉先(裂片)がビロウのように折れて
垂れ下がらず、ピンと張っていることで容易に区別される。
また、自生のままでは葉が枯れてもすぐに落ちないで幹に垂れ下り次々に何枚も重なる。
ペチコートのように見えるのでペチコートヤシとも呼ばれる。
このペチコートの中にネズミ等が住み着くのを避けるため、米国などでは、
法令で除去を義務づけているところもあるとのことである。京葉線の「葛西臨界公園」駅前の並木も
なかなか見事である。なお、通常ワシントンヤシと呼ばれているが、
四国や九州の暖地で多く植えられているのは、成長が速く高木となる
ワシントンヤシモドキ(Washington palm / Washingtonia robusta )のようである。
Links:
講演「東京の街路樹」(http://www.s-araki.com/O-NET-21.htm)
(社)日本植物友の会(http://www.shokubutsutomonokai.or.jp/)
落葉のアルバム(http://www.emiko.com/ochiba/)
メタセコイア(metasequoia/Metasequia glyptostroboides)
モッコク(Japanese Ternstroemia/Ternstroemia gymnanthera or Ternstroemia japonica)
ヤマモモ(wax myrtle/Myrica rubra)
ヤマモモ科ヤマモモ属の常緑高木。田舎で暮らした少年時代、山歩きをして
「ヤマグワ」とともに食べた「ヤマモモ」の暗赤色の実の甘酸っぱい独特の味が懐かしく思い出される。
葉が良く繁り、樹形や幹も美しく、街路樹に適した樹である。なお、ヤマモモは、徳島の県木になっている。
シダレヤナギ(weeping willow/Salix babylonica)
ヒメユズリハ(Daphniphyllum/Daphniphyllum Teijsmannii)
ユリノキ(tulip tree/Liriodendron tulipifera)
ワシントンヤシ
( desert fan palm / Washingtonia filifera )