「ヴェニスに死す」:あらすじ

  謹厳実直な初老の大作家アッシェンバッハは、ふと旅に出る。そして、ヴェニスのホテルでポーランドの美少年タッジオに出会う。アッシェンバッハは、ギリシャ彫刻を思わせるこの14歳の美少年に心を奪われてしまう。遠くから眺めているだけでは飽きたらず、夜となく昼となく後を追い続ける。  しかし、ちょうどその頃ヴェニスではコレラが猛威を振るっていた。アッシェンバッハはそれを知りながも、タッジオへの未練からヴェニスを離れられずにいる。  いよいよタッジオの一家が旅立つことになった。遠くから彼の姿を眺め、名残を惜しむアッシェンバッハ。いつものように少年の後を追って立ち上がろうとするが、椅子に倒れこみそのまま帰らぬ人となる。