今後模倣が危惧される文京区内傾斜地での宅地造成計画

茗荷谷、拓殖大学の南西、小日向3丁目(秋田書店跡地)で“まさか?”の宅地造成が始まろうとしています。

東西に17m離れて平行に走る2本の道路に挟まれた高低差5m弱の傾斜地(430u)がその現場です。その北側の低い道路側に沿って高さ5.5m、 長さ25mの擁壁を造り、高い側の南側の道路と水平に土砂を埋め、平坦な宅地を造成する計画です。町外から運ばれる土砂量は1,300?、 2tダンプ1500台にもなります。500u以上の土地に関しては地盤面操作、30p以下の整地範囲とした都市計画法の運用指針がありますが、 この430uの面積で対象とならず、造成工事だけの申請のため建築物の指導要綱の対象にもなっていません。

そして建築物でないため、この擁壁建設は説明会の開催も義務付けられていないといった成り行きで、1度だけの住民主催の説明会では図面 を回収し閉幕しています。

地域への説明をしないまま進むこの計画を地域との調和したものにする最後のよりどころは景観審議会でのチェックしかありません。

計画地のある傾斜地には上段、下段の宅地がそれぞれの道路に沿って帯状に伸び、それぞれの家屋は上下の道路に向いて建てられています。 下段の道路に沿って建てられていた家屋が並ぶ景観に 高さ5.5m、垂直のコンクリートの壁が長さ25mにわたって出現するのです。 区側は 景観審議会は建築物を対象としているので、擁壁のような構造物を対象とした前例はないとしています。しかし、街並み自体 の断絶に等しいこの計画にこそ、景観審議会の存在は係っていると思われます。

皆さんに景観審議会学識委員の区への意見内容にご注目をお願いする次第です。

工事費を賄えるほど地価が上がり、傾斜地の多い文京区内では今後このような“トンデモ宅地”がアチコチに表れ事を危惧するものです。(小川忠博 記)


追記同宅地造成計画中止の経緯(2016.5 小日向台町町会「町会だより」48号より)。