第7回《お結びネット》:交流会

1. 日時:2009年9月16日(火)、19:00〜20:55
2.会場:アカデミー茗台(旧茗台プラザ)7階 ボランテイアルーム
3.参加者:約30名
4.内容:「今 文京区でおきている」〜いろいろな問題について」(司会:並木さん)

≪要旨≫
NTT都市開発鰍ヘ、コマースビル、川村学園ビルほか目白駅前の土地買収完了後、平成19年末に100m高のマンション計画を発表したが、 近隣の住民(特に高齢者)が問題視し、平成20年1月に40名弱の発起人で「目白駅周辺の環境を守る会」を発足させた。その後、 1年以上に亘って毎土曜日に集会を実施(合計53回、平均20名が参加)して対策を練った(現在は月に1回)。ビラも2,000〜3,000枚配布した。 豊島区に陳情したが、当初は、法的に問題ないものとして取り合ってくれなかったが、途中から区側の応対が変り、区議等とも親しくなった。 並行して、数名がNTTの1株株主になり、株主総会の場で2年続けて社長に抗議した。また、政治家にも協力依頼したが、国会議員の仙谷議員 (民主党)及び小池議員(自民党)は、大変よく動いてくれた。最終的には、この高層マンション計画は、幸いにも白紙撤回となり、現在は、 5ないし6階程度の建設を検討中の模様である。 なお、NTT側は、中止理由をあくまで景気後退に伴う採算割れとしている。

A 礫川交流館の建て替え問題                  礫川交流館を考える会      青柳さん
区の「第三次行財政改革推進計画」の一環として、地域活動センター・交流館の見直しが行われることになった機会に、利用者の立場から 有志で今年の4月から話し合いをすすめ、7月に「
礫川交流館を考える会」を立ち上げ、 活動を始めた。小石川2丁目にあるこの施設は、築40年以上で老朽化しており、設備や利用手続的にも不便である。しかし、「考える会」の活動は、 問題があっての反対運動ではなく、より良いものにしたいという立場である。8月下旬に区に対して文書で施設の改善、備品の追加、申請曜日・時間 の拡大等について当面の10項目の要望事項を伝えた。今後の取り組みとして、区が10月に開催を約束した説明会の機会を大切にし、意見を述べて いきたい。利用団体に広く呼びかけ「礫川交流館まつり」(仮称)にとりくんでいきたいと考えている。

B 本郷赤門脇マンション問題―結果とその後          本郷赤門の周辺の景観を守る会    松本さん
当初の23階建てのマンションを19階にまで下げることになり、現在工事に入っている。 成功のポイントは、区長が動かざるを得なくなったこともある。  80%以上の賛同を得た高さ制限案(15階以下)を含むアンケート結果をまとめて区に提出した。区は担当課長の交代もあったが、マスタープランによる 高さ制限を盛り込むのでそれまで待ってほしいと回答してきた。しかし、「マスタープラン」は「指針」であり、条例より弱い。 このため6月に本郷通り建築物 の高さ制限の早期条例化についての要望書を提出した。しかし、区からの回答は満足できるものではなかったので、8月に再度 要望書を提出した。区側には、マスタープランを作った後、高さ制限を決める動きもある。

C 湯立坂脇マンション問題・文化財(銅御殿)       杜史(とし)を育む会  並木さん(補足:稲葉さん)
小石川5丁目湯立坂に野村不動産が計画しているマンション建設は、残念ながら、すでに工事が進行中であり、良い報告が出来ない。大谷美術館が 起こしていた工事差し止め訴訟は、一審敗訴となり、現在抗告中である。 これまでも文科省等への署名を提出したが、6月から知事宛の署名運動 を開始した。署名が10,000人になるとNHKで取上げてくれるので、協力してほしい。 なお、工事中の排気ガス、騒音が予想外に大きく、近隣 住宅には喘息患者もいるので問題である。機器を借用して排気ガス及び騒音の計測実施を計画している。

D 小日向プロジェクト              春日通りの街並みと生活環境を考える会  坂口さん(補足:清水さん)
旧文京信金の跡地に建設を始めた「小日向プロジェクト」には、二つの問題がある。一つは、100mの高層マンションが、周辺から突出すること。 もう一つは、高層ビル建設に伴う風害問題である。また、このプロジェクトでは超高層ビル建設の根拠を、本来袋小路の奥の空地利用のための 「連坦制度」によっている。 隣接する低層のレクサスビルの “空中権”を東急不動産が購入して大通りである春日通りに面している高層ビルを計画したことは、この制度の乱用である。文京区は寺社や墓地も多いので この制度の悪用は、高層ビル乱立をもたらす恐れもある。 レクサスは、車だけでなく空気も売るのかと言う“スローガン“も考えている。

E 関口の目白坂計画     関口2・3丁目地域の環境を守る会      野口さん
文京区の端にある目白坂計画の用地は、元来個人所有の約3,000坪の屋敷林であり、一種住宅地(建蔽率60%、高さ10m以下)である。 樹齢100-200年の巨木もある森林であるが、セキスイハウスは3年前の購入時に1/3の樹を切ってしまった。着工していない現状では、 “ひこばえ”で緑がかなり戻っている。開発許可は、1年前文京区が下ろしているが、都の建築許可はまだ下りていない。駐車場を含めて4棟の 建物が計画されているが、本来1棟毎に認可されるべきであるが、この場合は特例の 「一団地認定」を受けている。今年6月に、文京区の認可無効を唱えて都に見直 しを申請している。この間、区とは文書で2回論議している。9月下旬には、口頭審査があり、結論が出される。なお、文京区の対応は悪く、 「守る会」の代表及びホームページの管理者に対して個人攻撃をかけてきている。

F 春日・後楽園駅前地区再開発        文京区の環境を守る会   藤原さん(補足:三橋さん、反論:松井さん)
6月に風害、駐車場の問題を残しながら春日・後楽園駅前地区再開発の「都市計画」が決まった。「法定再開発」には、公共性等の根拠が必要である。 高さは、155mから141.9mにはなったが、“グリーン・バレー”が内側にあることもあり、白山通り側は道路からわずか3mのところに絶壁が 出来ることになる。計画地区は確かに乱開発が進み更新が難しいので再開発は必要だが、超高層以外の選択肢が検証されていないのと、都市計画審議会 でも認めている超高層による風害などの弊害を補って余りある公共性があるかどうかも検証できていない。先日開催された「景観と住環境を考える全国ネット」 の東京交流会でも都市計画法に合法と言いながら高度利用のみが合理的土地利用とされていることが問題視された。合法の名の下にどんどん超高層ビルが 建っていく法体系に問題があるので、都市計画法・建築基準法改正の署名を10万筆目指して集めている。なお、「都市計画」決定後も、「組合」設立 までには、1年ほどかかるものと思われるので引き続き見直しを求める運動を続けたい。また、同地域は、「東京都景観計画」で規制される文化財庭園からの眺望 (小石川後楽園など)に関する「景観誘導区域」にすっぽり入っているが、この観点から の景観規制と適合への追求がこれまで不十分であった。また、文化財庭園や歴史的に意義ある資源を守る上からも景観を守る事は重要。税の投入される法定再開発では特に、 地権者の意見だけでなく、周辺住民の同意形成が大切だと思う。政権交代があったこの時期がチャンスであり、与野党双方にロビー活動をしたい。

《準備組合》副理事長 松井氏(再開発の当事者で角地の9階建てビルの所有者)のコメント:
「このプロジェクトは、96名の地権者の90%の同意で始まったもので、ディベロッパーは1坪も持っていない。これまで道路沿いに乱開発が進んでおり、 区道も無い内部の戦後の老朽住宅が取り残されている現状である。業者が利益のためにやっている訳ではなく、公共性がある。 再開発は、一概に悪ではない。」
これに対して、内部に取り残された老朽住宅に関しては、小日向で問題になっている「連坦制度」の活用を検討してはどうかなど参加者から一斉に反論があった。 

G 新大塚公園のその後と教育センター・福祉センター等文京区の問題       新大塚公園を守る会   小川さん
  区側は、区の協議会の結論として五中跡地に教育センター及び福祉センターを移設しようとしている。教育センターは区内全体の子供が利用する施設であるが、 五中は文京区のはずれにある。 また、この協議会のメンバーは、五中隣接の6町会長、校長等で構成されており、PTAからは1人も入っていないのは問題である。 一方、福祉センターは、民設民営の計画であるが、五中跡地は、公共避難所に指定されているので耐震強度上心配がある。公設公営或いは公設民営が望ましい。

H その他 (香川さんのコメント)
* 区庁舎と東京ドームが小石川後楽園の景観を台無しにしていることを痛感している。
* 区の外部委員への応募者および区の委員会傍聴者が少ないのは残念である。 以上 (文責:荒木)