「市民自治の可能性」講演要旨(当日配布資料):2008.6.12 福嶋 浩彦

1.自治・分権の視点

市民自らが社会の理念や方向性を決め、市民自らの手で地域を創る(市民自治)
@市民が出来るものは、自立して自らの責任と権限で行う
A出来ないものは、税金を払って市民のコントロールのもとで行政にやらせる
B行政が行う場合、まずは市民にいちばん近い市区町村が、出来ることを全部やる
   基礎自治体→広域自治体→国(補完性の原理)
◎市民主権(市民自治)の立場こ立てば、分権(地方自治)は原理
 ⇒政府・行政機構を国と自治体に分け、行政の権限やお金をできる限り主権者に近いところへ置いてコン
トロールする。
国家からではなく「市民から出発する自治・分権」という視点が大切。

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2.主権者市民による行政のコントロール

◎「市民自治」の土台は直接民主主義。すべてを直接民主制で行うことは困難なので、間接民主制で代替(長
 と議会を選挙で選ぶ。しかし白紙委任ではない)
◎自治体では間接民主制と直接民主制を並立させる(市民の直接決定・直接参加も)
◎日常的な市民の直接参加が不可欠。 参加市民と長・議会との緊張関係があってこそ長・議会は「全市民
 の利益」に立脚⇔「首長の利益」「議会の利益」「役所の利益」
  ■補助金の公募と市民審査 ■職員採用での民間試験委員 ■市民債の発行
  ■予算編成過程の公開とパブリックコメント  ※ 問われる議会への参加
◎セーフティネットとしての常設型の住民投票条例

3.市民の公共をつくる 

「公共」は市民の社会的活動の総体。
◎これまでは公共=官(行政)の思想。民は行政の下請け→<官が支配する公共>
◎これからは「市民の自立した活動」と「主権者市民にコントロールされた行政」が連携
 して、市民自治による「新しい公共」を創る→<市民が主体者の公共>
 行政の中心的な役割は、市民の自立した活動の下支えと、公共全体のコーディネート

4.民と官の連携

◎従来はコスト削減のためのアウトソーシング。これからは質を中心に考える
◎民の主体を豊かに育て、公共を充実させる。民も官も改革しながら連携することが重要
■我孫子市提案型公共サービス民営化制度
市の全ての事務・事業(約1100)を対象にして、民間(企業、NPO等)から「この仕事は市役所がやるより自
分がやったほうが、市民にずっと良いサービスを提供できる」という提案を公募。行政、専門家、市民で審査
する。
※「行政が出したいもの」ではなく「民間がやりたいもの」をきちんと検討する。

5.市民も自治の力を高める

市民も自治の力を高めることが不可欠。
違う意見、異なる利害関係を持つ市民同士がきちんと対話し、お互いに納得できる合意を自ら創り出す力が
必要。   「陳情政治の延長」or「市民自治につながる参加」