「友人フリッツ」のあらすじ

設定: 19世紀末、フランスのアルザス地方
登場人物:
フリッツ・コブス…中年の地主(T)
スーゼル…小作人の娘(S)
ベッペ…ジプシー女(MS)
ダヴィッド…ユダヤ教の司祭(Br)
フェデリーコ…フリッツの友人(T)
ハネゾー…フリッツの友人(B)
カテリーナ…家政帰(S)

第1幕:フリッツの家
金持ちのフリッツ・コブスの40歳の誕生日に司祭のダヴィッドが訪れ、貧しい村娘の持参金を都合してくれるよう頼んでいる。 フリッツは、恋愛や愛などをくだらないと思う独身主義者だが、気前良く金を貸す。友人たちとの酒宴が始まったところへ小作人の娘スーゼルが、花束を届けに来る。 そこへヴァイオリンを弾きながらジプシー女ベッペが現れる。スーゼルは、美しい調べに涙を催し、これを見たフリッツは、心を動かされる。 司祭は、スーゼルにも結婚を世話しようと考えており、フリッツはそれが面白くない。司祭ダヴィッドは、フリッツにも結婚を勧めるともに「君も近々結婚する」 と予言する。フリッツは、これを否定し、ぶどう園を賭ける。

第2幕:農家の庭先
サクランボが熟し、スーゼルは、花束を作り、フリッツが農地を見回りに訪れるのを待っている。フリッツが来ると、スーゼルは野の花を渡し、サクランボを摘む。 フリッツは、スーゼルの美しさに気付く。やがて、フリッツの友人たちがやって来て、いつになく彼の顔が輝いていることに驚く。 皆が、農地を見回る間、司祭は、スーゼルの元に残り、旧約聖書のレベッカの物語の話をする。花嫁を捜しに行くこの逸話によって、 スーゼルの気持ちを確かめようとした。話が、レベッカに花嫁になる意志があるかどうかを訪ね、返事を聞くところに来た時、フリッツが戻ってくる。 スーゼルは、突然の出来事にうろたえ、頬を染めて駆け去る。 司祭が、スーゼルは間もなく結婚するだろうと告げると、フリッツは激しく動揺して司祭を追い払う。フリッツは、混乱した感情のまま農地を去り、 スーゼルは挨拶もせずに立ち去った自分の失礼な振る舞いを後悔する。

第3幕:フリッツの家
フリッツは、スーゼルを愛していることに気づき、ひとり苦悶しているところへベッペがやって来て、歌って慰めるが、フリッツは却って苛立ってしまう。 一人になったフリッツのもとへ司祭がやって来て、スーゼルの結婚が決まったようだと告げる。フリッツは、取り乱し、怒ってその場を去る。 そこに、スーゼルが果物を届けにやって来るが、やはり元気が無い。司祭がスーゼルを励ますが、スーゼルの心は晴れない。 戻って来たフリッツはスーゼルに、結婚が決まったようだが、と問いかける。彼女が泣き出すので、フリッツは思わず彼女を抱きしめ、ついに愛を告白する。 司祭は、賭けに勝って手に人れたぶどう園を、スーゼルに進呈すると宣言する。独身主義の友人たちは、フリッツをからかいながらも、暖かく祝福するのだった。 (「公演プログラム」その他より)