<「フィレンツェの悲劇」のあらすじ>
このオペラの舞台は、勿論フィレンツェ。幕が上がると、フィレンツェの王子グイドと商人シモーネの妻ビアンカが、一緒にいる。グイドはビアンカの美しさを賛美する。そこにシモーネが突然現れ、2人を驚かせる。 シモンは最初、グイドは彼の品物を見るために顧客として来たようによそおって、自分の疑いを 隠す。彼は、ルッカのダマスク織り及びヴェネチア・ローブを含む幾つかの商品を見せる。しばらくして、彼はグイドが 人妻をうまく恋人にしていると皮肉っぽく話し出す。しかし、グイドは、(これにかまわず)ヴェネチア・ ローブを買うことに決める。シモーネは、感謝のジェスチャーをよそおって自分の家の中にあるもので気に入ったもの があれば何でも進呈するとグイドに申し出る。グイドが即座にビアンカが欲しいと言ったのを、 シモーネはにわかには信じられず、自分の妻は家事にしか向いていないと相変わらずとぼけ、ビアンカに糸紡ぎを 命じる。ビアンカは、しぶしぶ同意する。シモーネは、英国商人とイタリアの政策について長広舌をふるい 場を繕う。グイドは、勿論これに応じない。シモーネは、自制しきれないと感じ、部屋を出る。 彼が声の届かないところへ移ったと考え、ビアンカは夫を嫌悪しており、死んでしまって欲しいとまで言う。しかし、 シモーネは、変心して急に戻ったため、妻の痛烈な激情の吐露を耳にしてしまう。部屋に戻ると、彼は、死と姦通の 関連について示唆する。 ここで、シモーネは、鬱から躁に移ったように、突然快活になる。彼は、グイドに自ら楽しむように説得し、ビアンカと 彼のためにリュートを弾いてくれるように頼む。そして、歓楽に浸れるようにワインをすすめる。しかし、すぐに嫉妬に 駆られ、短時間ながら再び部屋を出る。彼が一時的に、いなくなったことでビアンカとグイドに、2人だけの瞬時の 強烈なラブシーンの余地が与えらることとなった。最後に、グイドが立去ろうとしたとき、シモーネが戻り、彼に自分の 刀を手渡す(決闘の合図)。彼は、グイドに盗人に対しては、危険を覚悟してこのようにするのだと告げる。こうして、 シモーネとグイドは、決闘することとなる。シモーネは、ビアンカに明かりを消すように命じる。ここで、オーケストラ が劇的に盛り上がり、グイドの運命を暗示する。決闘は激しくなるが、シモンの怒りがグイドを圧倒し、ついには彼を 絞め殺す。ビアンカは、明るい月の光を入れるため、ドアを開ける。勝誇った強い夫を見て、彼に対する新しい熱情を 感じ、彼を抱擁する。彼は、彼女の美しさに何度も見ほれる。彼らは、死んで床に横たわるグイドのそばで、 熱烈なキスをかわす。(GMN.com:「Classical Composers, Zemlinsky」等より)