「アラベラ」のあらすじ:
第一幕:舞台は19世紀中葉のウィーン。高級ホテルで見栄で暮らしている退役軍人のヴァルトナー伯爵は贅沢な生活が好きな上に賭け事 を好み、生活は火の車。それでも舞踏会へ出かける習慣をやめることが出来ない。先の見えない不安から妻のアデライデは占いに走って いる。そんな伯爵夫妻には、二人の娘、姉のアラベッラとその妹で経済力のなさから男の子として育てられているズデンカがいる。 両親は長女が裕福な男性と結婚してくれることを望んでいた。アラベッラは絶世の美女で、 多くの求婚者が現れていたが誰一人としてこれという人がいない。中でも最も熱烈に想いを寄せていたのは大尉のマッテオだったが、 アラベッラは彼にまったく関心がない。皮肉なことにマッテオを密かに愛しているのは妹のズデンカだった。 そんなところに伯爵の戦友の甥で大金持ちのマンドリカが現れた。アラベッラの肖像画を見て一目惚れし、 多額の結納金を持参して求婚に来たのだ。貧乏な伯爵にとっては、大いに魅力のある話である。 アラベッラも垣間見たマンドリカに好意を持つ。

第二幕:舞踏会で正式にマンドリカを紹介され、アラベッラは彼からのプロポーズを受ける。絶望に打ちひしがれたのは、マッテオ。 そんなマッテオの自殺を恐れたズデンカは姉の部屋の鍵だと偽って自分の部屋の鍵を渡す。しかし、それをマンドリカに見られてしまい、 時を同じくして踊りつかれたアラベラも会場から立ち去ったため、マンドリカは欺かれたと憤慨する。

第三幕:ホテルのホール。マッテオがアラベラになりすましたズデンカと愛を交わして部屋から出てくると、 そこにはアラベラがたっており、マッテオを冷たくあしらう。そこに伯爵夫妻とマドリンカが現れ、マンドリカは激しくアラベラをなじり、 マッテオに決闘を挑む。その時部屋からズデンカが現れ、すべて自分が仕組んだことだと告白する。誤解は解け、 ズデンカはマッテオと、アラベッラはマンドリカと結ばれる。(新国立劇場「公演案内」、音楽の友社「オペラのすべて'86」等より)