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「銅御殿」訴訟で意見陳述、7月13日東京地裁の第1回弁論で

文京区小石川・湯立板に立つ重要文化財の旧磯野邸〔通称銅(あかがね)御殿〕の隣接地に建設予定の高層マンションに対する建築確認処分 および計画変更確認処分の取り消しを求める訴訟の第1回口頭弁論が7月13日、東京地裁で行われた。
原告は、現在の銅御殿の所有者である財団法人大谷美術館(大谷利勝理事長)および周辺地域住民8名。被告は建築確認を実施した指定検査 確認機関である財団法人住宅金融普及協会および特定行政庁としての文京区。
この日は、原告側から2名が意見陳述した。
日本大学名誉教授でエ学博士でもある大谷美術館の大谷理事長は、明治の末期に7年の歳月をかけて完成させた近代和風建築の傑作とされる 銅御殿の建築の経過と希少性・優秀性を、自らの著書にも触れながら、専門的に明らかにした。
あわせて、「祖父・大谷米太郎の人生最後ゐ計画であった旧古河邸の修復・公開と、銅御殿の保存事業を引き継ぎ、後世に残すことは大いに 意義のあること」と強調。地下2階・地上12階建てマンションの工事が始まって、壁のクラック(ひび割れ)が表面化し、今後は“ビル風” などの被害が懸念されるとして、建築確認の取り消しとエ事の差し止めなどを強く求めた。
また、近隣住民で、銅殿市民の会の稲葉信子さんは「文京区の景観賞にも選ばれた湯立板の“歴史と文化と緑”は、文京区のアイデンティティ でもあり、区は法律・条令なども駆使して守るべき。今ならまだ景観を取り乗せる」と、思いのたけを陳述した。
また、訴訟提起後に2度にわたって、建築主の野村不動産が建築計画を、連絡なく変更していたことが判明。近隣住民には何の税明も、競技もなく、 「不誠実」と、あらためて怒りを買っていた。
次回の弁論は、9月8日午前11時30分から、東京地裁705号法廷で行われる。なお、これとは別に、文化庁を被告として訴えている訴訟の第1回口頭 弁論は、9月2日(木)午前11時から、東京地裁522号法廷で予定されている。
(2010-07-13)