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文化庁相手に「文化財保護」迫る、9月2日の“銅御殿”裁判で

東京・文京区の国指定重要文化財・旧磯野邸く通称「銅(あかがね)御殿に隣接する高層マンションの兼摂問題港に関連して、近隣住民9人が文 化庁を相手どって提訴している行政訴訟の第1口頭弁論が9月2日(木)に、東京地裁であった。
訴えの骨子は@文化庁長官が、野村不動産が建設中の「(仮称)文京茗荷谷マンション」の兼摂について、文化財保護法43条1項本文の許可手 続きを行う義務があることを確認する(公法上の確認訴訟)A文化庁長官は、同マンションの建設について、野村不動産に対し、「銅御殿に現状 を超えるピーク風力係数をもたらす構造物を建設してはならないという命令をせよ(義務付け訴訟)ーー−というもの。
一方、被告(文化庁)側は、「原告の近隣住民たちには、原告適格がなく、重大なな損害のおそれもないのだから、訴えの利益もない」として 棄却(門前払い)を求め、本案(中身)については答弁していない。
これに対して、この日、原告側からは2人が意見陳述した。
まず、日本大学文理学部教授で、住民・原告でもある廣田照幸氏が、住民として景観の重要性、快適さを述べるとともに、重要な問題として、 「まだ、風洞実験もなされていなかった平成18年5月に、文化庁がすでこ『風は無視しろ』と文京区に指示していたことが、今年6月11日の文京区 議会建設委員会での浅田やすお区議の賞問に対する文京区の答弁で明らかになった」と指摘。
次いで、近隣住民の味方征子さんが「戦時中は、住民たちがバケツリレーで銅御殿を空襲から守った。戦後も地域の人たちに愛されてきた銅御殿が、 マンション建設に伴うビル風などで、破壊されることなく、また、湯立坂の美しい景観が保全されることを望む」と、思いの丈を陳述した。
次回公判は、10月28日(木)午前11時半から、同じ522号法廷で行われる。
(2010.09.02)