「愛怨」のあらすじ

時は、8世紀中葉、場所は奈良及び唐(南部と長安)。 8世紀中葉の遣唐使大野浄人は、大和の聖明女帝から、唐の光貴妃が秘曲とする琵琶曲《愛怨》を必ず持ち帰るよう厳命を受ける。 彼は若草皇子との求婚争いに勝って結婚したばかりの桜子を残して出立する。船の遭難で南方に漂着するが持前の囲碁の腕で食い つなぎながら長安に着く。途中、唐の宮廷で重用されている朝慶(阿部奈香麻呂)に出会い、強烈な望郷の歌を聞くが、おかげで 光貴妃の誕生祝いの宴に連れられて玄照皇帝と光貴妃に会うことが成る。浄人は、数奇な運命で光貴妃の侍女となっている類まれ な琵琶奏者・柳玲とも出会う。しかしその席で、あろうことか皇帝は来るべき自分の誕生祝賀会で催される囲碁大会の勝者に柳玲 を賞品として差し出すと宣言する。長く柳玲に横恋慕してきた囲碁名人の孟権は狂喜する。 柳玲の父は2次前の遣唐使に加わった雅楽師で、唐人の胡姫だった母と結婚して双子の姉妹、柳玲と桜玲がいた。しかし彼は当時の 規則で母と幼い柳玲を長安に残し、桜玲(日本で桜子)を連れて日本に帰り、母も亡くなって一人になった柳玲の少女期は苦難の 連続であった。再渡航を企てた父も果て、めぐり合った浄人から事情を聞いている最中に、若草皇子の非業の最後と桜子の死がも たらされる。彼女は桜子の夫である浄人の苦境を救うため、他に伝えたら死刑に処せられるという掟をわきまえつつ、父が作曲し て光貴妃に捧げ,自分しか弾けない《愛怨》を浄人に、内密に演奏して聞かせる。突然襲ってきた愛の昂ぶりを抑えることができな かったのだ。浄人は囲碁大会に出場を決心する。やがて祝賀会の日、浄人と孟権の決勝戦では柳玲と浄人の運命を左右する事件が 続発、唐時代の大乱も絡み、大波乱の終幕を迎える。(三木稔Home page、公演プログラム等より)