「アブ・ハッサン」のあらすじ

時は、「千一夜物語」の時代。場所は、バグダッド。首長お気に入りの家臣アブ・ハッサンは借金で首が回らなくなっているが、 家族が死亡すると葬儀費用と葬儀用の衣裳が支給されることを思い出し、若く美しい愛妻ファティーメと示し合わせ、それぞれが 死亡したことにして二重の支給を受けようと企む。一方、ファティーメにお熱をあげる両替商のオマールは、借金を棒引きする見 返りに何とか思いを遂げようとするものの、のらりくらりとかわされてジリジリしている。首尾よく二人分の見舞金をせしめたア ブ・ハッサンだったが、首長ハルーンとその妻ゾベイーデが確認のため自分の家に来ることになり大慌てする。死んだ振りをして 長椅子に横たわっている2人の姿をみたハルーンは当惑し、どちらが先に死んだのかを当てた者に金貨千枚を与えると告げる。す るとハッサンは、「死んで」いることも忘れ、むっくり起きあがり、先に死んだのは自分でハルーンの威徳で蘇ったと答えてしま う。続いてファティーメも蘇生し、驚く首長にハッサンハ事の次第を話し、2人で平謝りする。ハルーンは約束通りハッサンに金 貨千枚を渡すとともに、ファティーメに言い寄ったことを理由にオマールを追放し、めでたく幕となる。(新国立劇場の案内等より)